以下は、毎日新聞(2015年02月07日)からの引用です。
「司法試験の予備試験を受けた法科大学院生の8割が「就職で有利」と考えている−−。
そんな実態が、政府の法曹養成制度改革推進室が予備試験受験者を対象に初めて実施したアンケートで浮かび上がった。
経済的に法科大学院に進学できないような人のために設けられた制度だが、本来の趣旨から離れ、「抜け道」として利用されている実態が裏付けられた。
知識偏重からの脱却を目指した法曹養成制度改革で、司法試験は原則として法科大学院を修了しないと受験できなくなったが、予備試験合格者は例外的に受験資格が得られる。
昨年は司法試験合格者1810人のうち163人を予備試験通過者が占めた。
合格率は大学院修了者が21%、予備試験組は66%だった。
予備試験は▽短答式▽論文式▽口述式の3段階で実施される。
調査は昨秋の口述式の受験者392人を対象に実施。
大学生25人、法科大学院生79人、それ以外(会社員や公務員ら)36人の計140人が回答した。
予備試験の受験理由(複数回答)を尋ねたところ、法科大学院生の78%が「予備試験に合格していた方が(法律事務所などへの)就職に有利」と回答した。
合格率数%という「難関」であることが背景にあるとみられる。
また、法科大学院生の84%が進学理由を「予備試験に合格しなかった場合に司法試験受験資格を得るため」と回答。
88%は大学院の教育が予備試験受験に「役に立った」としたが、大学院修了後も司法試験に合格していない人の場合は「役に立った」は46%だった。
大学生の受験理由は「少しでも早く法曹資格を取得して実務に就く」が84%で最多。
「法科大学院に進学する経済的余裕がない」は12%にとどまった。
一方、それ以外の人の受験理由は「法科大学院に進学する時間的余裕がない」が44%、「経済的余裕がない」は41%だったが、38%は「必ずしも法科大学院で学ぶ必要はない」と答えた。
自由記述では、予備試験の受験資格に制限を設けることに反対する意見が多かったが、「法科大学院生が受験するのはおかしい」と現状を疑問視する声もあった。
推進室はアンケート結果も参考にしながら、7月までに予備試験を含めた法曹養成制度改革の方向性を示す予定。
◇司法試験予備試験◇
合格すれば、司法試験の受験資格が得られる試験で、受験者は年々増えている。
受験資格に制限がなく、法科大学院生が授業料や時間を節約するために利用しているとの指摘がある。
昨年は受験者1万347人の17%、合格者356人の46%を法科大学院生が占めた。」
合格率数%という旧司法試験並みの「難関」の予備試験を突破して、大学院修了者が僅か21%しか合格できない司法試験に、66%も合格できる実力がある人々に対して、「司法試験を受けたいのであれば、法科大学院を修了しなければ駄目だ」というのは、おかしな話です。
最低でも2年間の年月と、数百万円の費用がかかるだけでなく、その分だけ、働いて稼ぐ機会、実務家としての経験を積む機会、人間関係や信頼関係を築く機会、定年までに昇進・昇給する機会等々を失うことになります。
そもそも、法科大学院制度を導入したのは、「大幅な合格者数の増加をその質を維持しながら図る」ためなのだそうですから↓、法科大学院を修了しなくても、充分な質があるのであれば、それで良いのではないのでしょうか。
http://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/houka/houka.htm
予備試験制度導入の本来の趣旨って、誰のために、何のために、あるのでしょうか。
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