以下は、産経ニュース(2015年 2月3日)からの引用です。
「家族に喫煙を嫌われ、しぶしぶベランダで喫煙する人たちを「ホタル族」と呼んで“同情”したのは、今は昔。
受動喫煙の害が広く知られるようになったことで、隣や上の階に煙が流れるベランダでの喫煙に対し厳しい目が向けられている。
平成24年にはベランダ喫煙の男性に5万円の支払いを命じる判決も出た。
喫煙者からは「どこで吸えばいいんだ」との嘆きが聞こえるが…。
■トラブル恐れて「泣き寝入り」も
「たばこの煙についてのお願い」−。
東京都江東区のマンションで1月、ベランダ喫煙への注意を促すポスターが掲示された。
ポスターでは「正々堂々煙をまき散らさない」「風向き、風速を計算の上、煙を吐く」などの注意点をあげ、マナーの徹底を呼びかけている。
マンション理事長(58)は「複数の居住者からベランダ喫煙への苦情が寄せられたのに対応した。ポスターで禁煙はうたっていないが、煙をまき散らさないでベランダでたばこを吸うのはほぼ無理なので、実際はベランダでの喫煙は遠慮してくださいということだ」と説明する。
苦情は、「たばこの煙や臭いが嫌」「洗濯物に臭いがつく」「受動喫煙の影響が心配」といったものがある。
また通常、マンションなど共同住宅においてベランダは「共用部分」とされ、災害時などで隣人の避難通路としても使われている。
大手マンション管理会社の広報担当者は「今は多くのマンションがベランダなど共用部分は禁煙にしている。ホタル族への苦情も少し前までは多かったが、最近は減ってきており、ベランダでの禁煙はマナーとして認知されてきたようだ」と話す。
喫煙歴22年、東京都豊島区の会社員、沢田高志さん(仮名、45)は「自宅では主に自分の部屋、たまに台所の換気扇の下で家族の了解を得て吸っている。隣家からの苦情も今のところない。ベランダでは、風が強くなければ吸うが、3階建て最上階の角部屋で、ベランダも隅の方で吸うなど隣人にも配慮はしているつもりだ。世間から厳しい目が向けられているのは知っているが、マナーを守る喫煙者がいることも知ってほしい」と言う。
ただ、受動喫煙被害に詳しい岡本光樹弁護士は、「ベランダなどの共用部分での喫煙が他の居住者を害しているケースは少なくない。ベランダ喫煙の煙を苦痛に感じても、トラブルを恐れて泣き寝入りしているケースもある」と指摘する。
■「不法行為」と認定した判決
ベランダでの喫煙をめぐっては、階下に住む60代男性のベランダ喫煙による煙で体調が悪くなったとして70代女性が訴えを起こし、名古屋地裁が24年12月、男性に賠償金5万円の支払いを命じている。
判決では、受動喫煙が健康に悪影響を及ぼす恐れがあることは「公知の事実」とし、ベランダでの喫煙を他の居住者に著しい不利益を与える「不法行為」とした。
この判決は確定している。
ベランダがだめなら、室内で換気扇の下で吸おうと思うかもしれない。
しかし、岡本弁護士は「名古屋地裁の判決からは、自分の部屋(専有部分)で喫煙する場合も、他の居住者に不利益を与えているなら制限すべきと解釈できる。外に煙が流れる換気扇の下で吸うのも、苦痛に感じるという人がいる場合には認められない」という。
苦痛に感じる人がいる場合はだめというのなら、魚を焼く臭いが嫌だという人がいればマンションでは魚を焼くこともだめなのか、という疑問もわく。
最近は「子供の声がうるさい」とトラブルになっているケースもあるが、苦痛に感じる人がいるなら子供が騒ぐのも許されないのだろうか。
この疑問に対して、日本学術会議の要望書「脱タバコ社会の実現に向けて」(平成20年)を取りまとめた東京大学の唐木英明名誉教授は「他人に苦痛を与えているかどうかは、健康に被害を与えているかどうかで考えるべきだ」と指摘する。
■吸うのなら「注意を払う義務」
魚の臭いや子供の声を苦痛に感じる人がいたとしても、実際に精神的あるいは肉体的な被害を与えていない限りは社会的に許容される。
一方、受動喫煙が肺がんや心筋梗塞(こうそく)などの健康被害を引き起こすことは、世界保健機関(WHO)が2004年、科学的根拠をもって示している。
日本は2005年にWHOの「たばこ規制枠組条約」を批准しており、公共の場所での禁煙は国として取り組むべき課題でもある。
では、喫煙者はどこで吸えばいいのか。
唐木名誉教授は「他人に迷惑をかけない場所なら吸っても構わない。ただし、たばこの煙によって嫌な思いをする人がいないか、喫煙者は常に注意を払う義務がある」。
つまり、外に煙が漏れないようにして室内で吸うか、屋外では喫煙が認められる場所で、かつ煙が流れる先に人がいないかを確認してから吸うしかないといえる。
喫煙者にはつらいが、そういう時代であることを認識する必要があるということだろう。」
以前、法律相談を受けに来た方に教えられて、初めて知りましたが、この判決のことでしょうね↓
http://www.osakacity-mansion.jp/hanrei/hanrei-11
そういう時代なのですね。
気を付けます。
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