以下は、弁護士ドットコム (2014年12月11日)からの引用です。
「大手エステサロン「たかの友梨ビューティークリニック」の女性従業員が、マタニティ・ハラスメントを受けたなどとして、運営会社の「不二ビューティ」に慰謝料などを求め、東京地裁に訴えていた裁判で12月11日、和解が成立した。
女性が所属する労働組合「エステ・ユニオン」が、「原告の女性が和解案に納得して訴えを取り下げた」と発表した。
第1回口頭弁論が12月12日に予定されていたが、その前日に訴訟が終結した。
エステ・ユニオンはブログなどで「傍聴による裁判支援の呼びかけや報告集会の開催も予定しておりましたが、こちらも中止とさせていただきます。ご理解いただきますよう、よろしくお願いいたします」と説明している。
女性は10年近く同エステで働いた正社員だが、2013年12月に妊娠した際、妊娠にともなう軽易業務への異動希望を拒否されるなど、「マタニティ・ハラスメント」を受けたと主張。
さらに、長時間残業を強いられたのに残業代が支払われなかったとして、マタハラの慰謝料200万円と未払い残業代1400万円の支払いを求めて、今年10月29日に東京地裁に提訴していた。
エステ・ユニオン執行委員の青木耕太郎さんは弁護士ドットコムの取材に対し、「今回の和解内容は話せない。産前産後休暇については、エステ・ユニオンと同社の間で、同社が女性の働きやすい職場環境作りに取り組んでいくということで労使合意をした。労使合意の内容は、労使で協議した上で改めて発表する」と話している。
同社に関してはほかにも、エステ・ユニオンに所属する女性従業員2人が、未払い残業代の支払いを求めて、仙台地裁に訴訟を提起している。
仙台地裁の裁判は、第1回口頭弁論が来年1月29日に予定されている。」
秘匿条項、秘密条項付の和解をしたということでしょうね。
ダラダラと示談交渉するよりかは、さっさと訴え提起した方が早い、という典型例ですね。
何よりも、公開の法廷で審理され、マスコミに報道されて、これ以上、マイナスイメージが広がるのを避けたかったのだと思います。
労働審判↓という手続もあり、一見、早期解決に結びつきそうですが、労働審判は原則非公開ですので、公開の法廷で行われる通常訴訟を選択したことが、大いに効を奏したと思います。
http://www.courts.go.jp/osaka/saiban/roudou5/sinpan_q_a/index.html
しかも、労働基準法第114条は、「裁判所は、第20条、第26条若しくは第37条の規定に違反した使用者又は第39条第6項の規定による賃金を支払わなかった使用者に対して、労働者の請求により、これらの規定により使用者が支払わなければならない金額についての未払金のほか、これと同一額の付加金の支払を命ずることができる。ただし、この請求は、違反のあった時から2年以内にしなければならない。」と定めており、残業代の未払いは、同法第37条違反にあたります。
「命ずることができる」ということで、裁判官の裁量に過ぎないものの、今までの発言等からすると、倍返しになりかねませんが、労働審判では、付加金が認められる余地はないそうですので。
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