以下は、毎日新聞(2014年11月07日)からの引用です。
「拘置所内で被告を撮影したことを理由に接見を中止させられたのは違法として、東京弁護士会の竹内明美弁護士が国に1000万円の賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁は7日、国に10万円の支払いを命じた。
「裁判の証拠に使う目的での被告の撮影は認められていない」と主張の大筋を退けた一方で、接見を中止させた点は理由がなく違法と認めた。
竹内弁護士は2012年、東京拘置所で被告と接見。
カメラの持ち込みは禁止されていたが、被告が体調不良で、勾留取り消しなどの証拠として保全する必要があるとして写真撮影した。
撮影に気付いた拘置所職員から消去を求められたが、応じなかったところ接見は打ち切られた。
刑事訴訟法は、容疑者や被告が立ち会いなしで弁護士と面会できる接見交通権を保障しており、撮影が接見に含まれるかが最大の争点となった。
沢野芳夫裁判長は「被告らの状態を撮影して正確に記録することは、必要不可欠とまでは言い難い」などと述べた。
一方、国側が接見を中止させた理由とした証拠隠滅やプライバシー侵害の恐れなどについては抽象的な危険に過ぎないとし、「接見を中止させることはできない」と指摘した。
接見時の撮影や録音を巡っては、法務省が07年、カメラや携帯電話の使用を禁じる通達を出し、拘置所側は撮影行為があった場合には懲戒請求を起こすなどしている。
これに対して日本弁護士連合会は、反論の意見書や申し入れ書を出すなど反発。
今回のように訴訟へ発展するケースもあるという。
判決後、弁護団は「評価のできない部分が多々あり、控訴する」とコメントした。」
他の報道の見出しだけを読む限りでは、本来認められるべき撮影を理由に、接見を中止したのが違法、という判断なのかとも思いましたが、そうではないのですね。
日弁連も、東京弁護士会も、会長談話を発表しています↓
http://www.nichibenren.or.jp/activity/document/statement/year/2014/141107.html
http://www.toben.or.jp/message/seimei/post-376.html
家族に動画でメッセージを送りたいなどというリクエストに応えて撮影するというのであればともかく、弁護のために必要かどうかを、弁護人自身が決定できないというのは、どうなんですかね。
取調中とかに暴行を受けて負傷したというのであれば、「必要不可欠」ということになるのですかね。
そもそも、秘密交通権が保障されている筈なのに、なぜ、拘置所職員は、撮影に気付いたのでしょうか↓
http://morikoshisoshiro.seesaa.net/article/378933319.html
ちなみに、判断の理由に不服があっても、請求が全面的に認められてしまえば、控訴はできませんので、こういうケースでは、高額請求の意味がありますね。
このブログの筆者のホームページはこちら