以下は、佐賀新聞LiVE(2014年11月06日)からの引用です。
「佐賀県弁護士会は5日、消費者金融への過払い金返還請求で、依頼者から解決を一任する同意を取り付けていたのは職務規定違反として、同会所属の福田大志弁護士(35)=西九州総合法律事務所(武雄市)=を戒告の懲戒処分にしたと発表した。
10月31日付。
弁護士職務基本規定では、依頼者と協議しながら事件処理に当たることが定められている。
同会によると、福田弁護士は2010年7月、過払い金返還請求を依頼した男性と「和解金額などの判断は一任し、事前に個別了解を得る必要はない」などの条項を設けた同意書を交わしていた。
知らないうちに勝手に和解させられたとして、男性から13年に苦情が寄せられ、同会が内部調査したところ、福田弁護士は10〜13年の4年間に依頼者から同様の同意書を取り付けたケースが2800件以上あったことが判明。
さらに、一任する条項の存在を外部に漏らすことを禁じる同意も取っていた。
同会は依頼者の利益より事務処理の効率化を優先させたと判断した。
牟田清敬会長は「弁護士の品位を失わせる行為であり、県民におわびしたい」とした。
福田弁護士は「異議を申し立てるか検討している。同意は依頼者が選択することであり、問題と思っていなかったが、指摘を受けて1年ほど前から条項を省いている」と話した。」
弁護士職務基本規程36条は、「弁護士は、必要に応じ、依頼者に対して、事件の経過及び事件の帰趨に影響を及ぼす事項を報告し、依頼者と協議しながら事件の処理を進めなければならない。」と定めていますので、形式的には、この条項に違反するということなのでしょうね。
ただ、それでも、きちんと事件を処理していれば、依頼者が苦情や懲戒の申立てをすることもなかったのでしょうが、和解金額などの判断を一任するばかりか、一任する条項の存在を外部に漏らすことを禁じる同意すらも取っていたことからすると、まともな事件処理をしていなかったのではないでしょうか。
2010〜13年の4年間に2800人以上ということは、1年間に700人以上、1年365日殆ど休まず働いたとしても、1日2人ずつ依頼者が増えることになります。
1人の依頼者が、1社の消費者金融業者としか取引がないということは極めて稀で、複数の業者に対して、残債や過払金があるのが普通です。
同弁護士の所属する法律事務所のホームページによると、弁護士2名、スタッフ4名とのことですが↓、自分自身の事務処理能力からすると、この程度の規模で、これだけの事件数を、まともに処理できるとは、到底、思えません。
http://www.nishi9kabarai.com/
それにしても、昨年発覚して、今頃懲戒処分とは、随分と時間がかかるのですね。
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