以下は、朝日新聞デジタル(2014年10月30日)からの引用です。
「地方議員の調査研究のために自治体が支給する政務調査費(現在は政務活動費)について、最高裁は29日、「1万円以下の支出の領収書」も公開するよう命じる決定を出した。
第二小法廷の鬼丸かおる裁判長は「調査研究活動の自由の保護より、使途の透明性が優先される」と指摘。
政務活動費をめぐっては、地方議員による不適切な支出が相次いでおり、最高裁が使途の公開について厳しい基準を示した。
今回の決定は、1万円を超える支出に限り領収書の提出と公開を義務づけた岡山県の条例をめぐるもの。
NPO法人「市民オンブズマンおかやま」が、県議の2010年度の政務調査費に違法な支出があったとして返還を求めた訴訟で、1万円以下の領収書の提出命令を出すよう岡山地裁に求めていた。
これに対し、県議側は「公開すれば情報収集した相手の氏名が明らかになり、調査活動の妨げとなる」と反論。
岡山地裁は提出命令を出したが、二審・広島高裁岡山支部がこれを取り消したため、オンブズマン側が最高裁に不服を申し立てていた。
小法廷の決定は、条例の趣旨について「調査活動の自由をある程度犠牲にしても、政務調査費の使途の透明性の確保を優先させたとみるべきだ」と指摘。
1万円を超える領収書を公開の対象としたのは「事務の負担を配慮したものにすぎない」として、1万円以下の領収書についても「公開が予定されていないとは言えない」と結論づけた。
全国市民オンブズマン連絡会議(名古屋市)によると、都道府県や政令指定市、中核市の計110議会で、政務活動費の領収書の提出について「1万円超」としているのは岡山県のみ。
ほかの自治体は金額に関わらず、すべての領収書の提出を義務づけている。」
早速、裁判所のホームページに掲載されています↓
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=84588
1万円以下の支出であろうと、1万円を超える支出であろうと、公開すれば、相手の氏名が明らかになり、調査活動の妨げとなる可能性があることに変わりがないことは、誰にでもわかることで、県議側の反論には、何ら説得力がないということは、良く分かります。
では、1万円を超える支出に限り、領収書のコピーの提出・公開・保管を義務づけた条例との整合性はどうなのかと言えば、当該条例は、飽くまで、領収書のコピーを取って提出したり、保管したりという手間を省いたに過ぎず、原本の公開は別論である、という論法です。
第2小法廷の鬼丸かおる裁判長は、元弁護士で、元司法研修所の民事弁護教官、直接教わった訳ではないものの、確か、今年の8月末の我々の法曹20周年記念で、お祝いの言葉を頂きましたが、攻めの判決が多いように思います。
このブログの筆者のホームページはこちら