以下は、YOMIURI ONLINE(2014年10月28日)からの引用です。
「違法なネズミ講を行って破綻した企業の破産管財人が、損失を受けた被害者への支払いに充てるため、上位の会員らに不正な利益の返還を請求できるかが問われた訴訟の上告審判決で、最高裁第3小法廷(木内道祥みちよし裁判長)は28日、「請求できる」とする初判断を示した。
同種事件の判断はこれまで、下級審で分かれていた。
ネズミ講などの違法ビジネスでは企業に資産が残らないケースが多く、末端の被害者の救済が進む可能性がある。
その上で判決は、管財人側敗訴の1、2審判決を破棄し、被告の上位会員に、請求通り約2100万円の支払いを命じた。
管財人側の勝訴が確定した。
問題になったのは、インターネットのブログを用いたビジネスへの出資を募り、2011年に破綻した「クインアッシュ」(東京)。
出資者が新たな会員を紹介すると一定の配当金が得られるネズミ講とされ、1審・東京地裁判決は、少なくとも4035人から25億6000万円を集めたと認定した。
管財人は、同社との取引で利益を得た九州地方の男性を相手取り、利益分の返還を求めた。」
早速、裁判所のホームページにも掲載されています↓
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=84582
民法708条は、「不法な原因のために給付をした者は、その給付したものの返還を請求することができない。ただし、不法な原因が受益者についてのみ存したときは、この限りでない。」と定めています。
「不法原因給付」と呼ばれており、「悪いことのために給付した者の返還請求に、法律すなわち国家は手を貸さないよ」ということです。
ですので、ただし書きで、「専ら受け取った側が悪い場合には、この限りではない」ということになる訳です。
法律で禁じられており、刑事罰すら課される無限連鎖講↓を開設・運営したクインアッシュ自身からの返還請求であれば、まさしく不法原因給付であり、認められる余地はありません。
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S53/S53HO101.html
では、専ら上位の会員らが悪いのかと言えば、そういう訳ではありませんので、ただし書きが適用された訳ではありません。
飽くまで、全債権者の代表のような立場にある破産管財人との関係では、不法原因給付に当たることを理由として返還を拒むことは、民法90条に定める信義則により、許されないという判断です。
こちらが、破産管財人が運営管理するホームページのようですが↓、既に役員の責任追及や、本件以外の上位会員からの回収作業は終わっているようで、最後のひと踏ん張りという感じだったようですね。
http://quin-ash2.com/
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