以下は、朝日新聞デジタル(2014年10月18日)からの引用です。
「集団的自衛権の行使を認める閣議決定は憲法9条に違反するなどとして、元三重県職員の珍道世直(ちんどうときなお)さん(75)=津市=が安倍晋三首相と当時の全閣僚を相手に閣議決定の無効確認と10万円の慰謝料の支払いを求めた訴訟の第1回口頭弁論が17日、東京地裁であった。
珍道さんが出廷し、「閣議決定で、外交や安全保障上、国民の利益が侵害された」と主張した。
首相側は「具体的な権利侵害がない」として請求の却下を求め、即日結審した。」
気が付きませんでしたが、既に同様の訴訟で、訴え却下の判決が出ていました。
という訳で、以下は、毎日新聞(2014年10月01日)からの引用です。
閣議決定訴訟:口頭弁論開かず訴え却下 東京地裁
「集団的自衛権の行使を容認した7月の閣議決定の違憲性が争われた訴訟の判決で、東京地裁は1日、口頭弁論を開かずに訴えを却下した。
平田豊裁判長は「具体的な法的紛争が生じているとはいえず、訴えは不適法」と述べた。
松山市の男性が安倍晋三首相を相手に、閣議決定の無効確認を求めた。
判例上、裁判所が違憲審査権を行使するには具体的な争いが必要で、法令などについて抽象的な判断を示す権限はないとされる。
地裁は、閣議決定だけでは国民の権利に直接的な影響を与えないと判断したとみられる。
同種訴訟は東京地裁で少なくとも他に1件あり、同様の判断が示される可能性が高い。」
憲法81条は、「最高裁判所は、一切の法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するかしないかを決定する権限を有する終審裁判所である。」と定めています。
しかしながら、最高裁判所昭和27年10月8日大法廷判決は、「わが裁判所が現行の制度上与えられているのは司法権を行う権限であり、そして司法権が発動するためには具体的な争訟事件が提起されることを必要とする。我が裁判所は具体的な争訟事件が提起されないのに将来を予想して憲法及びその他の法律命令等の解釈に対し存在する疑義論争に関し抽象的な判断を下すごとき権限を行い得るものではない。」として、警察予備隊の違憲性を争う訴えを、却下しています↓
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=57366
要するところ、最高裁判所の裁判官以外で構成される憲法問題を扱う特別な裁判所の存在を認めないことにより、三権分立の徹底を図るための条項に過ぎない、ということです。
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