以下は、毎日新聞(2014年10月11日)からの引用です。
「生まれてから30年間戸籍のない大阪府の女性(30)が、死亡した実父との親子関係の確認(認知)を求めた訴訟で、大阪家裁(久保井恵子裁判官)は10日、女性の訴えを認める判決を言い渡した。
判決は確定する見通し。
女性は結婚、出産しており、判決文などを役所に提出すれば、夫や子と一緒の戸籍に入ることができる。
代理人弁護士らによると、無戸籍の解消を巡って死後認知が認められたのは初めて。
判決によると、女性の母親は1971年に前夫と結婚し、東北地方で暮らしていた。
しかし、前夫の暴力が原因で約5年後に大阪へ逃げ、別居した。
その後、女性の実父となる男性と知り合い、事実婚で84年に女性を産んだ。
ただ、離婚ができず、出生届を出すと戸籍上は前夫の子になるため、役所へ届けずに無戸籍のまま育てた。
実父は提訴前の2011年に病死。
DNA型鑑定などができなかったが、母親と実父が知り合った飲食店の経営者らの証言を基に、親子関係が認められた。
女性は08年、実父に認知を求める調停も大阪家裁に申し立てた。
だが、調停委員から「母親と前夫の婚姻関係が解消されない限り審判できない」と誤った情報を伝えられ、取り下げていた。
女性を支援した南和行弁護士は「裁判所が無戸籍の問題を正しく理解し、救済が進むことを期待する」と語った。
◇「同じ思い、子どもにさせない」
「30年かけて、やっとお父さんと親子になれた」。
判決後、記者会見した女性はほっとした表情を浮かべた。
中学3年の夏、両親に無戸籍だと告げられた。
小中学校は自治体の配慮で通えたが、高校進学は諦めざるを得なかった。
正社員として就職できず、アルバイトを転々とした。
戸籍を作ろうと決意したのは、2005〜06年に長女(9)と長男(7)を授かったからだ。
「子どもには同じ思いを絶対させたくない」。
だが、08年に申し立てた調停は取り下げる事態に。
一方、法務省が無戸籍問題に対処を始め、子どもは夫の戸籍に入った。
後は自分だけだ。
死後認知を認めてもらうための証言を集め、今年7月に提訴した。
この日の判決は、実父の遺骨を納めたペンダントを胸に聞いた。
「お父さんと一緒に聞きたかった」と思いをはせた。
【ことば】
無戸籍の人
さまざまな事情から母親が出生届を出せず、戸籍がない状態の人。
法務省の実態調査によると、先月時点で全国に少なくとも200人いる。
本来は可能な住民登録をしていない人も少なくなく、▽運転免許が取得できない▽選挙権が認められない▽国民健康保険に加入できない−−など行政サービスから取り残されている。」
先日の判決は、出生当時、戸籍上の夫婦だった父親に対する親子関係不存在確認でしたが↓、今回の判決は、実父に対する死後認知ですか。
http://morikoshisoshiro.seesaa.net/article/405938167.html
この報道を読むと、まるで、無国籍の人が、本来、誰でも、生れてすぐにでも、実の両親との間の子供として、戸籍を持てる筈だったのが、今まで、誤って、認められていなかったかのようですが、それはあり得ないと思います。
それでは、嫡出推定規定だけでなく、夫婦制度、戸籍制度も崩壊してしまいます。
飽くまで、母親の戸籍上の夫婦関係が、離婚か、夫の死別かにより、解消した後であれば、ということだと思います。
ちなみに、法務省のホームページには、この様なページがあります↓
http://www.moj.go.jp/MINJI/minji04_00034.html
http://www.moj.go.jp/MINJI/minji175.html
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