以下は、朝日新聞デジタル(2014年10月6日)からの引用です。
「過去の量刑の傾向を調べるために裁判員裁判で使われている最高裁の「量刑検索システム」で、殺人罪などで起訴されて上告中の男性被告(60)の判決が「確定」したとする入力ミスがあったことがわかった。
男性の弁護人が指摘して訂正されたが、最高裁は過去6年半分のデータ約1万2千件にも誤りがないかについて調べる方針という。
最高裁によると、システムには裁判員裁判の審理対象となる殺人や放火といった重大事件の判決の概要のほか、事件が確定したかどうかに関するデータが記録されている。
入力は一審判決を言い渡した裁判官が担っている。
男性被告の弁護人によると、先月1日に大阪地裁の専用端末でデータを閲覧したところ、上告中なのに判決が「確定」と表示されていたという。
最高裁によると、裁判員裁判では裁判員が評議で量刑を決める際、量刑検索システムに入力されている過去の同種事件のデータが参考資料として示される。
過去には覚醒剤の密輸量の入力ミスが発覚し、2009年に東京地裁であった覚醒剤密輸事件の裁判員裁判の審理の一部がやり直されたケースもある。
弁護人は「決まっていない量刑を確定した判断だと示せば、裁判員の判断を誤らせる恐れがある。弁護人や検察官もチェックして記録する仕組みが必要だ」と話す。
最高裁は入力ミスの経緯を公表していないが、朝日新聞の取材に「誤りがあったことは事実で、チェック方法を見直したい」としている。
〈量刑検索システム〉
最高裁が2008年4月、裁判員制度で裁判員が被告の量刑を決める際の判断材料を提供するために運用を始めた。
各地の地裁に端末があり、裁判官や検察官、弁護人が閲覧できる。
被告の名前は伏せられているが、罪名▽求刑▽判決――のほか、動機や計画性といった量刑を左右する事情も書かれている。」
裁判官も人の子ですから、間違えることはあります。
ですので、いわゆる3審制がとられている訳ですし、うっかりミスに関しては、民事訴訟法257条1項は、「判決に計算違い、誤記その他これらに類する明白な誤りがあるときは、裁判所は、申立てにより又は職権で、いつでも更正決定をすることができる。」と定めており、これは和解調書や調停調書にも類推適用されるものとされています。
とは言っても、裁判官にとっては、余り名誉なことではないでしょうから、先輩弁護士からは、「うっかりミスを見つけたら、すぐに裁判所に連絡して、そっと書類を返しなさい。」と教えられ、これが功を奏したこともあったように思います。
効を奏さなかったのかどうかは良く覚えていませんが、更生決定を貰ったこともあります。
更に、民事訴訟法256条1項は、「裁判所は、判決に法令の違反があることを発見したときは、その言渡し後1週間以内に限り、変更の判決をすることができる。ただし、判決が確定したとき、又は判決を変更するため事件につき更に弁論をする必要があるときは、この限りでない。」と定めており、この変更判決を貰ったこともありますが、これは珍しいのではないかと思います↓
http://www.hyogoben.or.jp/hanrei/hanreihtml/050706.html
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