2014年10月08日

弁護士預かり金返還訴訟 管財人の請求棄却 釧路地裁


以下は、どうしんウェブ(2014/10/07)からの引用です。

「【釧路】依頼者からの預かり金を返還しないまま2011年3月に自殺した釧路市の塚田渥弁護士=当時(68)=の口座から、理由なく現金を引き出すなどしたとして、同弁護士の相続財産の破産管財人が同弁護士の妻子らに約1億2800万円の不当利得返還を求めた訴訟の判決が6日、釧路地裁であり、中川博文裁判長は破産管財人の請求を棄却した。

判決によると、03〜11年に塚田弁護士の預金口座から引き出された約1億2千万円のうち、妻の引き出した部分について「生計を同一としていた塚田弁護士の意思に反するものではなく、少なくとも塚田弁護士が容認し、暗黙の同意があったというべきだ」とし、妻の利得は正当な理由がないとまでは認められないとした。

判決を受け破産管財人側は「控訴を検討している」という。」




相続財産破産というのは、珍しい手続ですが、相続人全員が、相続放棄をしたということでしょうね。

これまた、司法試験を本格的に目指した人なら、誰でも知っていると思いますが、最高裁判所昭和49年9月26日判決は、「およそ不当利得の制度は、ある人の財産的利得が法律上の原因ないし正当な理由を欠く場合に、法律が、公平の観念に基づいて、利得者にその利得の返還義務を負担させるものであるが、いま甲が、乙から金銭を騙取又は横領して、その金銭で自己の債権者丙に対する債務を弁済した場合に、乙の丙に対する不当利得返還請求が認められるかどうかについて考えるに、騙取又は横領された金銭の所有権が丙に移転するまでの間そのまま乙の手中にとどまる場合にだけ、乙の損失と丙の利得との間に因果関係があるとなすべきではなく、甲が騙取又は横領した金銭をそのまま丙の利益に使用しようと、あるいはこれを自己の金銭と混同させ又は両替し、あるいは銀行に預入れ、あるいはその一部を他の目的のため費消した後その費消した分を別途工面した金銭によって補填する等してから、丙のために使用しようと、社会通念上乙の金銭で丙の利益をはかったと認められるだけの連結がある場合には、なお不当利得の成立に必要な因果関係があるものと解すべきであり、また、丙が甲から右の金銭を受領するにつき悪意又は重大な過失がある場合には、丙の右金銭の取得は、被騙取者又は被横領者たる乙に対する関係においては、法律上の原因がなく、不当利得となるものと解するのが相当である。」と判示しています↓
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=54178

破産管財人は、全債権者の代表のようなものですので、この判例の射程距離内にあるように思いますが、悪意または重大な過失がないということなのでしょうかね。

ちなみに、相続放棄をしても、生命保険金を受け取ることはできます↓
http://morikoshi-law.com/faq6-5.html

このブログの筆者のホームページはこちら
posted by 森越 壮史郎 at 12:31| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:


この記事へのトラックバック