以下は、神戸新聞NEXT(2014/9/18)からの引用です。
「母親が当時の夫=神戸市、2012年に死亡=と別居中、別の男性との間で生まれ、出生届が出されずに無戸籍のまま暮らしてきた埼玉県の女性(32)が、前夫と親子関係にないことの確認を求めた訴訟で、神戸家裁の池町知佐子裁判官は18日、女性の訴えを認める判決を言い渡した。
判決の確定後、自治体に出生届を提出すれば、女性は父親の欄を空白にした戸籍を取得できる。
女性は実父と会ったことがなく、実父の行方は分からなくなっている。
DNA鑑定による証明も困難なケースだったが、池町裁判官は母親の証言を基に「当時は事実上の離婚状態で、女性は民法の嫡出推定を受けない」とした。
判決によると、母親は前夫の家庭内暴力から逃れるため、1980年2月、明石市から関東へ避難。
その後女性の実父と知り合い、81年11月に女性を出産した。
前夫とは84年に協議離婚した。
民法772条の嫡出推定は「婚姻中に妊娠した場合、夫の子と推定する」と規定。
母親は前夫の戸籍に入れるのを避けるため、女性の出生届を出さなかった。
女性は32年間戸籍がないまま暮らしてきたが、支援団体の調査で前夫の最後の居住地が神戸市と判明。
戸籍取得のため今年4月、神戸家裁に提訴していた。」
親子関係訴訟も人事訴訟であり、真実発見の要請が強いことから、「裁判所は、当事者が主張しない事実をしん酌し、かつ、職権で証拠調べをすることができる。」ものとされており(職権探知主義、人事訴訟法20条)、しかも、「被告とすべき者が死亡し、被告とすべき者がないときは、検察官を被告とする。」ものとされています(同法12条3項)↓
http://morikoshisoshiro.seesaa.net/article/375634165.html
とは言っても、赤の他人の検察官には、何もわかりませんし、判決には、対世効がありますので、例えば、亡くなった元夫と前妻や後妻との間の子供などの利害関係人がいれば、検察官は、訴訟告知をして、補助参加を促すはずですが、DNA鑑定による証明が困難だったということですので、そういう人はいなかったということなのでしょうね。
だからと言って、元夫が亡くなるのを待って、訴えを提起しさえすれば、本当は元夫との間の子供なのに、そうではないことになるというのもおかしな話ですので、裁判官は、単純に、母親の証言だけを鵜呑みにした訳ではなく、双方の居住歴、職歴等のわかる客観的資料等も総合考慮の上で、判断したのではないかと思います。
それにしても、本人には何の責任もないのに、32年間も無国籍とは…。
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