以下は、日本経済新聞電子版(2014/9/9)からの引用です。
「司法試験の予備試験は経済的な理由を抱えた人などにも法曹への道を開く「例外措置」として導入された。
ところが予備試験組の司法試験合格率が1年目、2年目とも70%前後と高かったことから人気が沸騰。
今年は志願者数が法科大学院を初めて上回るなど、本来の趣旨からのズレが目立っている。
政府は現在、法務省などを中心に、法曹養成制度全体の見直しを議論している。
年間3千人としていた司法試験の合格者目標値の撤廃のほか、予備試験でも年齢や収入による受験制限などを検討している。
文部科学省は近く有識者による審査委員会を立ち上げる。
今回の司法試験の結果などを基に、各大学院を5段階に分類。
最低ランクの大学院は2015年度の補助金を半分カットし、16年度も改善されなければゼロにするという。
審査では、合格率のほか、入学定員の充足率や社会人入学者数などを基準に評価。
補助金が減る大学院が多いとみられ、統廃合がさらに進む可能性がある。
審査結果は今年末にも出る見通しだ。」
確かに、本来の趣旨からずれているというのは、その通りでしょう。
しかし、本来の趣旨はどうあれ、制度ができてしまえば、自らに有利な制度を選択しようとするのは、当然のことです。
すぐにでも司法試験に合格できる人に、「お金がない訳ではないのだから、法科大学院に通って、時間とお金を費やしてから、司法試験を受けなさい」というのは、実に不合理な話で、ますます、司法試験離れが加速するだけだと思います。
予備試験組の合格率が高かったから、予備試験が人気となった訳ではなく、元々、法科大学院に通わずに済むものなら通わずに済ませたい受験生が殺到し、本来の目的(法科大学院課程の修了者と「同等」)以上の旧司法試験並みの高いハードルを設定したため、優秀な人が予備試験に合格し、その結果として、予備試験組の合格率が高くなっただけの話です。
その後、予備試験の志願者数が、法科大学院のそれを上回るようになったのは、定員充足率などが低い法科大学院は、補助金がカットされることとなったため、法科大学院が、軒並み、定員数を減らしたことにより、法科大学院全体の定員数が減少した、それでも駄目な法科大学院が、廃止や募集停止に追い込まれたから、というだけの話です。
予備試験の志願者は、確かに、微増傾向にはありますが、毎年、爆発的に増えている訳ではありません↓
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8F%B8%E6%B3%95%E8%A9%A6%E9%A8%93%E4%BA%88%E5%82%99%E8%A9%A6%E9%A8%93
法科大学院の定員数、受験者数、入学者数が、激減しているのです↓
http://morikoshisoshiro.seesaa.net/article/275256414.html
http://morikoshisoshiro.seesaa.net/article/396854924.html
だからと言って、司法試験合格者や入学者が殆どいないような法科大学院に、湯水のように補助金を注ぎ込み続ける訳には行かないのは、当然のことです。
爆発的に増員となった弁護士業界には、若者を引きつける魅力がなくなり、殆ど採用者数が変わらない裁判官や検察官になるのは、至難の業となりました。
我々の時代でも、東大生などは、現役で司法試験に合格できなれば、敢えてリスクを冒すことなく、国家公務員に、という方が多かったようです。
それまでに費やしたものが大きいのですから、当然のことだと思います。
現在であれば、大学現役で予備試験に合格できなければ、司法試験は諦めるということになるのかも知れません。
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