以下は、MSN産経ニュース(2014.8.15)からの引用です。
「法相の諮問機関である法制審議会の民法(債権関係)部会が検討している改正要綱原案に、賃貸住宅の「敷金」に関するルールの明文化が盛り込まれていることが14日分かった。
敷金の定義や返還については現行民法に明確な規定がなく、トラブルの原因になっていた。
改正によって、退去時に借り主が家主の“言いなり”になる不合理が減ることになりそうだ。
原案では、敷金を「賃料などの担保として借り主が家主に交付する金銭」と定義したうえで、その返還時期を「賃貸契約が終了し、物件を引き渡したとき」と規定。家賃滞納などがあれば敷金を充てることができるとし、敷金をめぐる基本的なルールを明記する。
部屋の原状回復義務については、「通常の使用による損耗(傷みや汚れ)、経年変化を含まない」と限定。
退去時に家主側から修繕代の差し引きを求められた際の目安となる。
「アパートを退去したが、敷金20万円をクロスの張り替え代などで全額相殺するため返金できないといわれた」(関東地方の30代男性)、「原状回復費用が敷金を超過する可能性が高いと不動産会社が電話でいってきた」(東海地方の50代男性)。
「国民生活センター」には毎年、このような相談が1万件以上寄せられている。
同センターは「敷金に関するルールが分かりやすくなれば、消費者に有利に働くはず」と評価する。
同時に「ルームクリーニングや鍵交換の特約といった契約内容を確認することは引き続き大事だ」と話す。
一方、アパートの賃貸契約では保証人を立てるのが通例だが、現行民法では保証額の上限に関する記載義務がなく、保証人は借り主の損害賠償責任を無制限に負わなければならない。
原案は、契約書に上限額を定めるよう求めることで保証人の保護をはかる。
原案の敷金部分については判例を明文化していることもあり、部会で大きな異論はなかったという。
法務省幹部は「賃貸契約をめぐるトラブルを未然に防いだり、解決のための手間や時間を省くことができる」と改正の意義を強調する。
部会で承認されれば条文整備に入り、来年2月をめどに法制審として法相に答申。
政府は来年の通常国会に民法改正案を提出する方向だ。
【用語解説】民法改正
六法の一つである民法の大規模な改正。
主に契約ルールを定める債権分野について行われ、検討対象は民法約1000条のうち約400条に及ぶ。
明治29年の制定以来ほとんど改正がなく、社会・経済の変化に対応し国民に分かりやすくするよう法相が平成21年に法制審議会に諮問していた。」
金額的に、事件の受任に至るケースは余りありませんが、確かに、法律相談センターの無料相談などでは、昔も今も、同じような相談があります。
ただ、最近は、貸主側にしても、借主側にしても、消費者契約法↓の存在や、国土交通省のガイドライン↓の存在を、何となく知っている方が、少なくないように思います。
http://www.kokusen.go.jp/hanrei/data/200406.html
http://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk3_000020.html
何となく存在を知っている方には、その具体的な内容を、知らない方には、その存在と具体的内容を説明し、それに沿った解決をアドバイスすることになります。
顧問先の関係で、貸主側で訴訟を提起したことがありますが、割合短期間で、裁判所から、上記ガイドラインに沿った和解案が提示され、和解が成立しました。
ただ、賃貸借契約に関する訴訟とは言っても、建物明渡等の典型的な訴訟ではありませんので、訴状の作成自体は、書式頼りという訳には行きません。
その時は修習生はいなかったので、さっさと自分で起案しましたが、修習生に起案させたら、面白いのではないかと思いました。
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