以下は、時事ドットコム(2014/07/03)からの引用です。
「自分が起こした傷害事件の被害者に脅迫文を送り付けたとして、札幌地検は3日、証人威迫容疑で無職及川雄介容疑者(33)=札幌市中央区北二条西=を逮捕した。
地検によると「脅すつもりはなかった」と供述しているという。
手紙は接見した国選弁護人が郵送しており、地検はこの男性弁護士について在宅のまま調べを進める。
逮捕容疑では5月下旬、弁護士と共謀し、知人で自分が起こした傷害事件の被害者の男性(47)とその妻に、「自分で転倒してけがをしたことにしろ」などと書かれた手紙や写真を送った疑い。
北海道警札幌中央署によると、及川容疑者は3月30日、中央区内のマンションで男性に暴行を加え、骨折などの重傷を負わせたとして4月24日に逮捕された。
地検によると、及川容疑者は暴行事件後、路上で転倒した際に持っていたナイフが腹部に刺さり、病院に運ばれた。
逮捕後に接見した弁護士が腹部の写真を撮り、手紙に入れて郵送した。
弁護士は事件発覚後、国選弁護人を解任された。」
刑法105条の2は、「自己若しくは他人の刑事事件の捜査若しくは審判に必要な知識を有すると認められる者又はその親族に対し、当該事件に関して、正当な理由がないのに面会を強請し、又は強談威迫の行為をした者は、1年以下の懲役又は20万円以下の罰金に処する。」と定めています。
「強談」とは、言葉により強いて自分の要求に応じるよう迫ること、「威迫」とは、ことばや動作によって、気勢を示し、相手に不安・困惑させること、とされていますので、そのいずれにも該当するのではないかと思います。
弁護人が、手紙の内容を知りながら投函したとすれば、まさしく実行行為の一部を分担していますので、確かに、証人威迫罪の幇助犯ではなく、共同正犯ということになると思います。
執行猶予付きでも、懲役刑となれば、弁護士としての資格を失いますが、欠格事由にはならない罰金刑が相応しい事件とは思えません。
知らないで投函したとすれば、故意犯である同罪は成立しませんが、内容も確認せずに投函するということがあり得るのですかね。
仮に、知らないで投函したということで、刑事事件としては立件されなくても、その落度は著しく、弁護士会による懲戒処分は免れないと思います。
ところで、裁判所から国選弁護人を解任された理由は何なのでしょうかね。
我々の認識としては、例えば、一般論として、取調べの際に暴行を受けたことの証拠を保全するためとか、本件では、例えば、被告人本人は被害者に刺されたと言っているのに、警察が取り合ってくれないので、証拠を保全するためとか、そのような理由で、接見室で写真を撮影したりすることは、当然の弁護活動として許されるということだったと思うのですが…。
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