以下は、MSN産経ニュース(2014.6.12)からの引用です。
「法律の専門家を養成する制度の改革について有識者が意見を出す法曹養成制度改革顧問会議が12日開かれ、法科大学院に行けない人が司法試験の受験資格を得るための予備試験について、制度改革案を立案する内閣官房法曹養成制度改革推進室が「受験資格を今すぐに制限すれば、法科大学院離れを招く懸念があり難しい。法科大学院教育改革の行方や司法試験の推移を見守り、制度全体の改革を検討する中で考えるべき」との見解を示した。
推進室は受験資格制限として、(a)資力不足者や社会人経験者が受験できる(b)一定年齢以上とする(c)法科大学院在学者は認めない(d)試験科目変更−が考えられると列挙し、「どの制限を設けても、法曹志望者や法科大学院入学者が減る恐れが大きく慎重な検討が必要」と言及。
「法律の専門家を目指す人が法科大学院に行こうと思えるよう、まず大学院改革を進め、政府として大学院教育の大切さを社会に認識してもらうための発信をすべき」とした。
司法試験を受験できるのは原則法科大学院修了者とされ、経済的理由で法科大学院に入れない人や社会人経験者に門戸を残す例外的趣旨で予備試験経由の司法試験受験を認めている。
だが、法学部生や法科大学院生が予備試験経由で司法試験に合格する例が目立ち、法科大学院の存在意義を脅かす事態が生じている。
顧問らも「早急には制限を決めず、慎重な議論が必要」と述べ、「ただ、法科大学院の体力悪化は見過ごせないほど切迫しており、何らかの方策が出せるよう取り組む必要がある」との認識で一致した。」
続いて、以下は、翌日のMSN産経ニュース(2014.6.13)からの引用です。
司法予備試験見直し提言 東大など6法科大学院
「東京大や京都大など6大学の法科大学院は13日、通過すれば司法試験を受験できる予備試験が「制度の趣旨に反する状況になっている」として、受験資格を設けるよう求める提言を法務省や文部科学省などに提出した。
予備試験は経済的事情などで法科大学院に通えない人を想定して導入されたが、受験資格に制限がないため「近道」として選択する学生が増えている。
法科大学院制度は、実務教育を通じて幅広い教養や豊かな人間性を備えた法曹を養成する目的で始まった。
提言は学生の関心が予備試験対策に向いていると指摘。
「法科大学院教育を軽視する傾向がある」と批判した。
その上で、予備試験に受験資格を設けるほか、法科大学院出身者と同程度の幅広い知識を問うために科目数を増やすよう求めた。」
予備試験組の司法試験の合格率は、71.9%と、法科大学院組全体の平均合格率である26.8%は勿論、全ての法科大学院ごとの合格率をも、大幅に上回っています↓
http://morikoshisoshiro.seesaa.net/article/374604258.html
予備試験は、法科大学院課程の修了者と同等の学識及びその応用能力並びに法律に関する実務の基礎的素養を有するかどうかを判定することを目的とする試験なのですから(司法試験法5条1項)、予備試験組の司法試験の合格率が、法科大学院組の合格率を遥かに上回っていること自体がおかしな話で、予備試験のハードルは、もの凄く高く設定されていることになります。
そのような予備試験に合格するだけの実力があるのに、無駄な年月と費用をかけて、法科大学院に通わなければならないようにすべきとか、更に予備試験を難しくすべきというのは、どういうことなのでしょうか。
旧司法試験の時代にも、大学在学中に司法試験に合格する優秀な人もいましたが、そのような人が存在することは問題だという議論は、当然のことながら、全くありませんでした。
誰のための法曹養成制度なのでしょうか。
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