以下は、時事ドットコム(2014/06/12)からの引用です。
「埼玉県在住の無戸籍の女性(32)が12日までに、母親の前夫(故人)と親子関係がないことの確認を求める訴訟を、神戸家裁に起こした。
訴状によると、女性の母親は1973年に前夫と結婚し兵庫県明石市に居住したが、家庭内暴力を受け80年2月、東京に逃れ別居。
そこで女性の実父と知り合い妊娠し、81年に女性を出産した。
当時、母親と前夫は離婚しておらず、出生届を出すと、民法の規定で戸籍上の父親は前夫になる。
父親でないことを証明するには前夫と連絡を取る必要があるため、母親は84年の協議離婚後も届けを出さなかった。
代理人らによると、女性は無戸籍のまま中学を卒業できたが、公的な証明書がなく高校進学などを断念し、アルバイトで生活せざるを得なかった。
最近になって前夫の死亡を知り、前夫を父親としない戸籍を得るため今年4月に提訴したという。
12日の第1回口頭弁論で原告側は、「母親と前夫は別居後、全く音信が途絶え、交流もなかった」などと主張した。」
続いて、以下は、朝日新聞デジタル(2014年6月6日)からの引用です。
無戸籍4人、調停申し立てへ 親子関係認知求める
「離婚後300日以内に生まれた子どもは前の夫の子と推定する」と定めた民法の規定が壁となり、実父の子と認められずに戸籍を持たない大阪市内の会社員男性(41)ら4人が実父との親子関係の認知調停を来月にも大阪家裁などに申し立てる。
男性は5日に大阪市内で記者会見し、「普通の人と一緒の生活がしたい」と民法改正の必要性を訴えた。
男性の母親は1972年4月に離婚し、280日後に交際相手との間に男性が生まれた。
元夫の子として戸籍に記載されてしまうため、母親は出生届を出さなかった。
男性は二十歳のころに交際していた女性との婚姻届を役所に提出して無戸籍だと知った。
男性の住民票や免許証の本籍地の欄は「不詳」。
警察官に免許の提示を求められたときに、偽造を疑われたこともあった。
大手企業への就職もはなからあきらめた。
男性は現在別の女性との結婚を考えているが、無戸籍の場合は婚姻届が受理されないといい、会見で「無戸籍がばれることにびくびくしながら生きている」と話した。
会見に同席した「新たな親子法制を考える当事者の会」代表の井戸正枝元衆院議員によると、男性のほか、大阪市在住の無戸籍の女性(30)ら3人も7月に大阪、さいたまの両家裁に調停を申し立てる方針だ。
すでに家裁に調停を申し立てている関東地方の女性(32)も5日、朝日新聞の取材に応じた。
自分が無戸籍だと知ったのは中学生のとき。
修学旅行の持ち物だった保険証が、なかった。
「あなたは戸籍がない。これからすごく苦労をかけると思う」。
母親(74)はわびた。
母親は夫の暴力から逃れるため、関西地方の家を出た。
その後、別の男性と出会い、女性が生まれた。
ただ、母親は離婚が成立していなかった。
出生届を出せば、居場所を突き止められるかもしれない。
女性は無戸籍のままで成長した。
大人に近づくにつれ、無戸籍の不都合さを実感した。
高校に行けない、就職ができない、運転免許がとれない、成人式の案内が来ない――。
どれも無戸籍ゆえに住民登録もないことが大きな要因だった。
「自分が一体誰なのかさえ、分からなくなった。自分は普通じゃないから、いろんなことをあきらめて生きてきた」
女性は昨秋、無戸籍でも住民票を取得できることを知り、今年5月、32歳で初めて住民票を手にした。
「ようやく普通の人として生きていける」。
願書を出すことすらできなかった調理師免許をとることが、今の夢だという。」
更に、このような番組もあります↓
http://www.nhk.or.jp/gendai-blog/100/188313.html
自分の子供を無戸籍のまま育てるなんて、と思いましたが、非常に根深い問題なのですね。
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