以下、MSN産経ニュース(2014.5.27)からの引用です。
「4人が誤認逮捕された遠隔操作ウイルス事件で、威力業務妨害やハイジャック防止法違反などの罪に問われたIT関連会社元社員、片山祐輔被告(32)について、東京地裁(大野勝則裁判長)が、保釈保証金1千万円のうち、600万円を没収する決定をしたことが27日、分かった。
地裁は23日に主任弁護人の佐藤博史弁護士に決定を通知した。
保証金1千万円は片山被告の母親が定期預金を解約して工面。
弁護団は22日の片山被告の公判後、「母親が経済面で著しく困窮する」などとして、地裁に保証金を没収しないように求める上申書を提出していた。
全額没収とならなかったことについて、佐藤弁護士は「被告が立ち直るのに、母親の生活の安定が不可欠なことなどが考慮されたのではないか」と話している。
片山被告は2月の初公判から無罪を主張していたが、「真犯人」メールを保釈中の本人が送った疑いが浮上。
今月19日に「自分が一連の事件の犯人」と弁護団に認め、地裁が20日に保釈を取り消し、再勾留されていた。
22日の公判で、無罪主張を撤回し、「全部事実です」と起訴内容を認めていた。」
一部没収とは、意外でした。
刑事訴訟法96条2項は、「保釈を取り消す場合には、裁判所は、決定で保証金の全部又は一部を没取することができる。」と定めていますので、法律的には、必ずしも全額没収しなければならない訳ではありませんが、保釈の条件を守らなくても、全額没収される訳ではないということになれば、安易に、条件に違反する被告人が続出する可能性があるので、当然、全額没収されるものと思っていました↓
http://morikoshisoshiro.seesaa.net/article/397459569.html
母親の生活のことも考慮したのかも知れませんが、裁判官の本音としては、全部否認の悪い子ちゃんで、審理に多大な時間がかかり、判決を書くのにも多大な時間と労力がかかる見込みだったのが、結果的に、全部自白の良い子ちゃんになったので、そのご褒美というところではないでしょうか。
私も、とある国選事件で、捜査段階では否認していた被告人が、公判の罪状認否で自白に転じたところ、まずあり得ないと思っていた再度の執行猶予が認められたことがあります。
執行猶予期間中の犯行で、今回の罪で有罪となれば、執行猶予が取り消され、前回の刑と、今回の刑とを、合わせて刑務所に行かなければならないと思い、否認していたのでしょうが、強硬に説得した訳ではありませんが、証拠関係からして、否認しても無罪となることはあり得ないことを説明し、今一度、良く考えるように伝えました。
ところが、公判の前日の接見でも、飽くまで否認するというので、その晩に、否認することを前提として、色々と準備して公判に臨んだところ、罪状認否で、「認めます」ということなので、あたふたと「かくかくしかじかの情状を酌量の上、再度の執行猶予を」と弁論しました。
判決言渡期日を迎え、結論は、再度の執行猶予判決で、被告人も、涙を流して、握手を求めて来て、「先生、後でご挨拶に伺います。」と言っていましたが…。
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