以下は、朝日新聞デジタル(2014年5月24日)からの引用です。
「求められないのに自宅に押しかけ貴金属などを買い取ったとして、消費者庁は23日、特定商取引法に基づき株式会社「エア」(本社・沖縄県)に対し、新規勧誘や契約などの一部業務停止(3カ月間)を命じた。
昨年2月の同法改正後、押し買い業者への行政処分は初めて。
金価格の高止まりや摘発の難しさを背景に被害は続いている。
消費者庁によると、エア社は貴金属の買い取りが目的であることや社名を告げずに「不用品の買い取り」などと電話し、要請がないのに訪ねて金や宝飾品などを強引に買い取っていた。
買い取り価格は大抵、市場価格より大幅に安く、指輪2点とチェーンを計2万5千円で買い、14万4037円で転売した例もあった。
質流れ品などを扱う業者に売っていたという。
同社に関する国民生活センターへの相談は、今年4月までの約14カ月間に21都府県から406件。
うち69件が実際に買い取られ、平均額は約2万円だった。
エア社は2012年2月設立後、「買取キング」「良品倉庫」「買取バード」と屋号を変更。
実店舗での営業はせず、沖縄県のコールセンターなどから月約9500件の勧誘電話をかけ、実質的本社の大阪のほか、東京、愛知、福岡の支店などから買い取りに出向いていた。
昨年1月まで1年間の売り上げは約6億1千万円。
大半が買い取った貴金属の転売によるものだった。
同社の担当者は、処分後の取材に対し「今後の対応を検討中で、コメントは差し控えたい」と話した。
■30分居座り「貴金属を」
九州地方の40代の女性は昨年11月ごろ、エア社から「何でも買い取る」と電話勧誘を受け、数日後に30代くらいの男が自宅を訪ねてきた。
女性が用意していた靴などはほとんど見ずに「金やプラチナはありませんか」と言った。
男は物腰は柔らかいが一歩も引かず30分以上、居座った。
結局、金の指輪と未使用のバッグ2点を計5千円で売った。
女性は「早く帰ってほしくて、投げやりになってしまった」と悔やむ。
「スカート1枚でもズボン1枚でもいらないものはありませんか」
京都府の無職の女性(67)の電話が鳴ったのは昨年12月上旬だった。
電話口には物腰の柔らかい女性。
古い洋服を買い取ってもらう約束をすると、その日の夕方にスーツ姿の20代の男が訪ねてきた。
女性が玄関先に洋服を持っていくと、男は少し見ただけで値段も言わずに脇に寄せ、指輪やネックレスなどの写真が貼られたファイルを出し「こんなものはありませんか」。
女性が断っても「貴金属やブランド物ならなんでもいい。ほんとにないんですか」と強い口調で迫った。
20分以上そんなやりとりが続き、不審に思った夫が奥の部屋から顔を出すと、男はようやく諦めた。
洋服はいくらかと女性が聞くと「ゼロ円です」と一言。
業者の名前が分かる書類などは一切残していかなかった。
女性は言う。
「不要な服がお金になるなら、と軽い気持ちで来てもらったのに。押し買いという言葉を知らなかったら売っていたかも」
■増える相談、昨年度2531件 弁護士「電話勧誘の時点で断って」
2013年2月の特定商取引法の改正で、押し買いは違法になったが、国民生活センターへの相談は13年度に2531件と、12年度の2350件を上回った。
今年度も1カ月半で181件(22日現在)が寄せられている。
なぜなのか。
背景には、ここ数年続く金やプラチナの高値がある。
田中貴金属工業によると1グラムの小売価格は金が約4600円、プラチナが約5300円とそれぞれ10年前の3・1倍、1・8倍になっている。
貴金属の買い取り・販売を手がける大手業者の幹部は、押し買い業者の転売を完全に防ぐことは難しいと明かす。
「買い取る際に仕入れ先を詳しく聞かないなど『緩い業者』も多く、指輪などは磨き直して香港経由で中国に輸出するケースもあるようだ」と語る。
さらに、摘発の難しさもある。
特商法に違反する行為があってもすべてが立件対象ではなく、警察がすぐ逮捕できるのは、買い取り時に必要な書類を渡さなかった場合などに限られる。
国民生活センターの担当者は「飛び込み営業は減り、服などを買い取ると電話をしてから訪問し、貴金属だけを買い取る形が目立つ」。
これも違法だが、業者は買い取りの同意を得たという「アリバイ作り」をしている形だ。
特商法に詳しい松尾善紀弁護士は「自宅へ来ることを許してしまうと、相手はプロなのでなかなか断れなくなる。電話勧誘の時点で断るべきだ」と話す。
◆キーワード
<押し買い>
求めていないのに業者が自宅を訪れ貴金属などを強引に買い取ること。
改正特定商取引法(2013年2月施行)では飛び込み勧誘が禁止され、8日間は契約解除ができる「クーリングオフ」の対象になった。
うその説明や脅すような勧誘をした場合は、3年以下の懲役や300万円以下の罰金。
行政処分は業務停止命令(最長12カ月)と改善などを求める指示の2種類がある。
ただし、大型家電▽家具▽自動車▽書籍・CD・DVD・ゲームソフト類▽有価証券は対象外。」
国民生活センターへの相談が毎年2000件以上あるのに、1年に1件位のペースで逮捕されたり、行政処分を受けたりという程度では、やはり、余り実効性がないようですね↓
http://morikoshisoshiro.seesaa.net/article/363089617.html
家に入れないのが一番なのは当然ですが、「古着などを買い取る」と言われると、ついつい入れてしまうのも仕方がないでしょうね。
やはり、話が違うと思ったら、家から出て行くように要求し、それでも居座るのであれば、躊躇せずに、警察を呼ぶのが1番だと思います↓
http://morikoshisoshiro.seesaa.net/article/253674572.html
http://morikoshisoshiro.seesaa.net/article/324494663.html
このブログの筆者のホームページはこちら