2014年05月13日

脱税:外れ馬券、2審も「経費」 検察側の控訴棄却


以下は、毎日新聞(2014年05月09日)からの引用です。

「インターネットで大量購入した馬券の所得を申告せず、約5億7000万円を脱税したとして、所得税法違反の罪に問われた元会社員の男(40)=大阪市=の控訴審判決が9日、大阪高裁であった。

米山正明裁判長は有罪とした上で、外れ馬券の購入費も経費と認めて脱税額を約5000万円に減らした1審・大阪地裁判決を支持、検察側の控訴を棄却した。

判決は、ネットを駆使した元会社員の馬券購入について「極めて規模が大きく、全体を一連の行為ととらえるべきだ」と指摘、全ての経費を合算できる雑所得に当たると認定した。

そして量刑は、1審判決の懲役2月、執行猶予2年(求刑・懲役1年)が妥当と結論付けた。

判決によると、元会社員は市販の予想ソフトを改良しネットで馬券を自動購入。

2009年までの3年間で約28億7000万円分を買い、約30億1000万円の払戻金を受けたが税務申告しなかった。

判決はまず、競馬の払戻金が一時所得に当たり、外れ馬券は経費に含まれないとの原則を示す一方、購入方法次第で雑所得になる例外があると解釈した。

その上で、元会社員がほぼ全レースを対象に、1日数百万〜数千万円単位で馬券を継続的に買ったと指摘。

「30億円以上の払戻金は外れ馬券を含めた大量購入の結果だ。負けレースを度外視した課税は公平ではない」として雑所得に区分した。

そして、外れ馬券の購入費を差し引いた約1億4000万円が所得で、当たり馬券のみを経費にし所得を約28億8000万円とした国税当局の算定は誤りとした。

ただ、昨年5月の1審判決は先物取引などと同じ資産運用とみなして雑所得と判断したが、高裁は資産運用とは認定しなかった。

弁護側は公判で、外れ馬券の購入費も経費に当たると主張。

元会社員は課税処分の取り消しを求める訴訟も大阪地裁に起こしている。

一方、検察側は1審判決を不服として控訴していた。大阪高検の野々上尚・次席検事は「判決内容を十分に精査し、適切に対応したい」とコメントした。

【ことば】

雑所得と一時所得

雑所得は給与、配当、利子などを除く個人の収入。

外国為替証拠金取引(FX)や先物取引の利益、公的年金、作家以外の人の原稿料など。

全ての経費と利益を合算して課税額が決まる。

一時所得は仕事の報酬を除いた臨時の利益。

懸賞金、競馬の払戻金、パチンコの収入も含まれ、直接かかった費用だけが経費として認められる。」




この事件の続報ですね↓
http://morikoshisoshiro.seesaa.net/article/304699509.html
http://morikoshisoshiro.seesaa.net/article/319920407.html
http://morikoshisoshiro.seesaa.net/article/364025986.html

高裁判決は、地裁判決よりも、更に、他に出来るだけ波及しないように、というニュアンスを強く感じますが、勿論、本件に関する税務訴訟のことも、意識していない訳がありません。

雑所得なのか、一時所得なのか、という判断は、事実認定のレベルの判断のように思いますが、「判決に影響を及ぼすような重大な事実誤認」ということで、検察側としては、一応、上告が絶対不可能という訳でないとは思います。

とは言え、本丸は税務訴訟の方なので、対検察庁という構図ではなく、対国税庁という構図で、じっくりと時間をかけて、税務訴訟の方で白黒を着けさせるべく、上告しないというのがスジではないかと思います。

ただ、検察庁という組織は、無罪判決というものに対し、異様なまでの反応を示しますので、そこが何とも言えないところではあります。

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posted by 森越 壮史郎 at 12:56| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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