以下は、日経Web刊(2014/4/19)からの引用です。
「法科大学院の撤退が相次いでいる。
今年に入り5校が2015年度からの学生募集の停止を表明。
一時74校あった法科大学院は60校を割ることになる。
司法試験の合格率が伸び悩み、定員充足率が低迷する法科大学院に対し、国は補助金の配分見直しなどで統廃合を迫る。
大学関係者の間では「縮小傾向はさらに進む」との見方が強まっている。
「志願者確保のため手は打ったが、限界だ」。
15年度からの募集を停止する新潟大の菅原陽心理事はこう話す。
04年度に380人いた志願者は、14年度は14人に減少。
今春、実際に入学したのは1人だった。
12年度までの修了者の合格率は32%で、全国的には中位レベルだ。
しかし、全国の法科大学院の志望者総数が、約7万2千人(04年度)から約1万4千人(13年度)に減る中で、「有力大学への集中が強まった」(菅原理事)といい、専任教員約20人を維持する余裕はないと判断した。
関東学院大と龍谷大も「志願者の増加が見込めない」などとして募集停止を発表。
大学関係者は「法科大学院から撤退する大学は続々と出てくるのでは」と指摘する。
法科大学院離れの最大の要因は、司法試験合格率の低迷だ。
法科大学院の学生の司法試験合格率は25.8%で、制度が始まる際に想定した7〜8割にはほど遠い。
半数近い大学の合格者数は1桁台で、高い合格率を誇る有力大学との「二極化」が進む。
「高い授業料と時間をかけても法曹資格を得られない可能性が大きい」などと敬遠され、13年度は64校で定員割れとなり、うち23校は入学者が10人未満だった。
一方で、本来は経済的な理由などで法科大学院に通えない人のために設けられた「予備試験」は出願者が急増。
合格率は数%と旧司法試験並みの狭き門にもかかわらず、昨年は約1万1千人が出願した。
法学部や法科大学院に在籍しながら「バイパス」として受験する学生も目立つ。
こうした事態を受け、国も法曹養成の態勢見直しに乗り出している。
文部科学省は今秋にも、司法試験の合格率や定員充足率などを基準に法科大学院を5段階に分類。
最低ランクに分類されれば、法科大学院への補助金を15年度は半分カット、16年度はゼロにする。
また、政府の法曹養成制度改革推進会議は、司法試験の合格率など一定の基準を満たさない法科大学院に対し、裁判官や検察官を教員として派遣しない制度を15年度から導入することを決めた。」
確かに、法科大学院が敬遠され、予備試験が人気なのは、法科大学院に、それだけの年月と費用をかける価値を見い出せない、ということに尽きると思います。
しかし、我々旧司法試験の時代は、合格率は僅か2%程度だったのに、それでも沢山の人が受験していましたので、法科大学院離れというか司法試験離れの最大の要因が、司法試験合格率の低迷だとは思えません。
勿論、司法試験合格率が低迷している個々の法科大学院が敬遠されるのは、当然のことですが。
2004年度の約7万2000人から、2013年度の約2万5000人(法科大学院約1万4000人+予備試験約1万1000人、両掛けしている人もいるので、実際にはより少数)と、司法試験を目指そうとしている人が約3分の1にまで減少しているのに、現状の約2000人を1500人にするということは、更に合格ラインが低くなるということであって、確かに合格率は徐々に高くなると思いますが、更なる質の低下の招くのではないでしょうか↓
http://morikoshisoshiro.seesaa.net/article/394373899.html
司法試験に合格することは、法曹になるためのステップに過ぎません。
司法試験の合格率が高くなったとしても、合格者が増えたとしても、裁判官・検察官の採用枠は殆ど変らないでしょうから、裁判官や検察官になりたいと思っても、それこそ狭き門、希望が叶うかかどうかは何とも言えません。
結局、圧倒的多数は弁護士になる訳ですが、就職・独立がままならないという現状では、敬遠するのは当然のことだと思います。
司法試験を目指そうとする人が減少しているのですから、目標合格者数を設定するなど、意図的に合格ラインを変更しない限り、いきおい合格者も減少して行き、どこかで均衡するのではないかと思います。
ただ、司法は最後の砦なのに、そんな尻つぼみのような形で均衡するのが、本当に良いのだろうかという気がしてなりません↓
http://morikoshisoshiro.seesaa.net/article/367054301.html
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