以下は、朝日新聞デジタル(2014年4月9日)からの引用です。
「他人が産んだ女児を出生直後から7年間育ててきた栃木県内の50代の夫婦が、法律上も実の親子関係を結ぶ特別養子縁組を求めた家事審判で、宇都宮家裁(間部泰裁判官)が実の親の同意がなくても「子どもの福祉のため」と縁組を認める決定をしたことがわかった。
2月10日付で、4月2日に確定した。
普通の養子縁組は戸籍に養子と記され実親との法的関係は残るが、特別養子縁組は、実親が育てられない子どもを、血縁関係のない大人が戸籍上も実子として迎え育てる制度。
虐待などの例外を除き実親の同意が必要で、虐待も同意もない中での今回の決定は異例という。
審判で実親は「自分では育てられないが、親子の縁は切りたくない」と主張していたが、間部裁判官は「実の親は女児との交流や経済的支援はなく、夫婦に任せきりだった。子どもの利益を著しく害する状況で、新たな親子関係を築くことが子どもの福祉のためだ」と指摘した。
夫婦の代理人を務めた南裕史弁護士は「実の親の虐待がない場合でも、子どもの利益を最優先にする判断は珍しく、画期的だ。今後は子の利益を重視する考え方が一般的になっていくのではないか」と話した。
最高裁によると、2012年には339組の特別養子縁組が成立している。
夫婦はあっせん機関の紹介で生後11日から女児を引き取った。
これまで2度、同家裁に特別養子縁組の成立を求めていたが、実親の同意がないことなどを理由に退けられていた。」
民法第817条の6は、「特別養子縁組の成立には、養子となる者の父母の同意がなければならない。ただし、父母がその意思を表示することができない場合又は父母による虐待、悪意の遺棄その他養子となる者の利益を著しく害する事由がある場合は、この限りでない。」と定めています。
しかし、これに続く同法第817条の7は、「特別養子縁組は、父母による養子となる者の監護が著しく困難又は不適当であることその他特別の事情がある場合において、子の利益のため特に必要があると認めるときに、これを成立させるものとする。」と定めています。
ですので、本件は、原則と例外を逆転するものであり、必ずしも妥当な判断だとは思えません。
勿論、実親の肩を持つ訳ではありませんが、特別養子縁組が成立するということは、例えば実親に対する相続権すらもなくなる訳で、生まれてきた子供にとって、必ずしも、利益となることばかりではありませんので、実親が不服申立をせず、確定しているんだから良いんじゃないの、という話ではないと思います。
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