以下は、毎日新聞(2014年03月25日)からの引用です。
◇連続送信は対象外、「法が実態に追いついてない」の声も
ストーカー行為の手段として電子メールの連続送信が使われた神奈川・逗子ストーカー事件を受け、警察当局は2013年、ストーカー規制法を00年の施行以来初めて改正し、嫌がる相手に何度もメールを送りつける行為を新たに規制対象に含めた。
しかし、この数年で急速に普及した無料通信アプリ「LINE(ライン)」などのソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)の連続送信は対象外で、摘発することができない。
捜査の現場からは、「法が社会の実態に追いついていない」との声が上がっている。
「また男か」
「シカト?」
警視庁田無署に2月、逮捕された東京都練馬区の無職、阿部直也容疑者(26)は今年1月31日、携帯電話で元交際相手の女性(23)に1589件ものメッセージをラインで送信したとされる。
20日後にも、「電話に出て」「来ないなら今日行くからな」などとラインで1660件のメッセージを送り、女性宅に押しかけたという。
女性からの110番を受け、田無署は2月20日に捜査を開始。
女性の携帯の履歴からラインで繰り返し送信している事実は確認できた。
しかし、(1)SNSの連続送信は規制対象外(2)ラインの文言自体に、「面会や交際、復縁の要求」や「行動の監視を告げる行為」など法で禁じている「つきまとい行為」に明確に該当するものが見当たらない−−などの理由でストーカー規制法の適用を見送ったという。
最終的に同署は、阿部容疑者が女性の頭を携帯で殴ったなどとする事案に着目し、2日後の22日に暴行容疑で逮捕した。
警視庁によると、ストーカー事件で加害者が元交際相手らに送信するメッセージは、徐々に表現がエスカレートし凶暴化するケースが目立つという。
しかし、SNSの連続送信は摘発できない。
ある捜査幹部は「これだけ普及しているのに時代に合っていない。他の容疑を適用できる事案ならいいが、そうでなければ被害者を危険にさらし続けることになりかねない」と法整備の必要性を訴える。
一方で、現行のストーカー規制法自体の使い勝手の悪さを指摘する声もある。
同法の規定によれば、復縁要求や待ち伏せなどのつきまとい行為があったとしてもそれだけでは摘発できない。
さらに「社会通念上、身体の安全、住居の平穏が害されるのではないかと相手に不安を与えた場合に限る」というハードルを乗り越えなければならないからだ。
別の捜査幹部は「『会いたい』など、ごく普通のメールが何度か届いただけで、『不安にさせた』とまで言えるかどうかは判断が難しい。罰則(6カ月以下の懲役または50万円以下の罰金)も軽い。脅迫行為が確認できればこうした容疑で立件する方が早い」と実情を語った。
◇ストーカー規制法が禁じる「つきまとい行為」
(1)尾行や待ち伏せ、自宅や勤務先などでの見張り
(2)行動を監視していると告げる行為
(3)面会や交際、復縁などの要求
(4)大声でののしるなど著しく乱暴な言動
(5)電話やファクス、電子メールの連続送信(ラインなどSNSは対象外)
(6)汚物や動物の死骸などの送付
(7)名誉を傷つける文書送付など
(8)わいせつな写真などの送付、公表
いずれも上記の行為を繰り返した場合が摘発対象。
ただし、(1)〜(4)は「社会通念上、身体の安全、住居の平穏が害されるのではないかと相手に不安を与えた場合」という条件をさらにクリアする必要がある。」
改正ストーカー規制法↓でも、SNSは対象外なのですね。
http://morikoshisoshiro.seesaa.net/article/371356516.html
勿論、警察当局が改正した訳ではありませんが。
罪刑法定主義からすると↓、そういうことになるでしょうから、更なる法改正が必要ですね。
http://morikoshisoshiro.seesaa.net/article/366079196.html
ただ、ストーカー規制法が、警察にとって、余りに使い勝手が良すぎるのも、困りものだとは思います。
このブログの筆者のホームページはこちら