以下は、毎日新聞(2014年03月13日)からの引用です。
覚せい剤取締法違反(営利目的輸入)などに問われ、裁判員裁判の無罪判決を2審で破棄されたイラン国籍の男の上告審で、最高裁第1小法廷は10日付で、被告の上告を棄却する決定を出した。
2審・大阪高裁は審理を大阪地裁に差し戻しており、裁判員を選び直して審理がやり直される。
裁判長を務めた横田尤孝(ともゆき)裁判官は補足意見で「1審が不合理な判断をした原因の多くは、審理が分かりにくかったことにある」と、地裁と検察、弁護側に苦言を呈した。
アブディ・スマイル被告(45)は2009年に覚醒剤4キロをトルコから密輸しようとしたとして起訴された。
「被告の指示を受けた」とする共犯者の供述について、大阪地裁は携帯電話の通話記録と整合しないとして信用性を否定したが、2審は「通話は覚醒剤受け渡しの時期に集中し、多くは密輸に関する内容と推認される」と判断。
小法廷も「合理的で是認できる」と支持した。
横田裁判官は、共犯者の証人尋問や被告人質問を計12時間超とした公判前整理手続きを批判。
「審理内容が分かりづらくなったのではないか」と指摘した。」
有罪の立証責任は全て検察側にあり、弁護人としては、真偽不明、すなわち良く分からなくすることも、当然、重要な戦術の1つなのに、なにゆえに、弁護側まで、苦言を呈されなければならないのかと思いましたが、裁判所のホームページに掲載されていました↓
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=84038&hanreiKbn=02
「公判前整理手続における争点整理及び審理計画の策定が不適切なままで終わったことには裁判所のみならず当事者の対応にも問題があったと考えられるところであり、分けても本件公訴事実について立証責任を負う検察官の訴訟活動には問題があったといわざるを得ない。」とのことだそうです。
それにしても、まるで、最高裁自らが、検察側に対して、助け舟、模範解答を示すかのような補足意見の内容は、いかがなものかと思いますし、末尾の「法曹三者が、それぞれの事件の内容・特性に応じた柔軟な姿勢で、裁判員裁判として在るべき公判審理、すなわち、裁判員が法廷で見聞きした審理の内容を踏まえて争点等について自らの意見を的確に形成できるような分かりやすい審理の実現に向け、不断の工夫と努力を重ねることが不可欠である。」というのも、弁護人になり得る側からすると、違和感を感じます。
「枝葉末節に過ぎない」「裁判員裁判だから」という理由で、何でもかんでもそぎ落とそうとする圧力が、益々強まるでしょうね。
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