以下は、毎日新聞(2014年03月08日)からの引用です。
「第三者の提供精子による人工授精で生まれた横浜市の医師、加藤英明さん(40)が「遺伝上の父親を知りたい」として、人工授精を実施した慶応大病院(東京)に精子提供者の情報を開示するよう求める文書を7日、送付した。
提供精子を使った不妊治療は「非配偶者間人工授精」と呼ばれ、国内で60年以上前から実施されてきた。
1万5000人以上の赤ちゃんが誕生したとされるが、生まれた子どもが遺伝上の父の開示を文書で請求するのは極めて異例。
出自を知る権利をめぐる議論に一石を投じそうだ。
加藤さんは「精子提供者の開示を認める制度を整備してほしい」と話した。」
60年以上前から行われており、1万5000人以上の赤ちゃんが誕生しているとは、驚きですが、「遺伝上の父親を知りたい」と思うのは、当然のことはないかと思います。
医師法24条は、医療記録を最低でも5年間保存しなければならないものと定めているに過ぎずません。
日本産科婦人科学会の会告では、「カルテの保存期間については本法(=精子提供による非配偶者間人工授精)の特殊性を考慮し、より長期の保存が望ましい。」としていますが、飽くまで、「望ましい」としているに過ぎませんし、しかも、「精子提供者のプライバシー保護のため精子提供者は匿名とする」としています↓
http://www.jsog.or.jp/kaiin/html/H9_5.html
匿名とする理由は、「精子提供者のプライバシー保護のため」「この匿名性が保障されなければ、提供者本人およびその家族に与える社会的影響も大である」「提供された側もその後の家族関係の安定のため、提供者が匿名であることを通常希望している」とのことですが、生まれてきた本人の遺伝子上の父親を知る権利という視点が、欠如しているのではないでしょうか。
少なくとも、精子提供者、戸籍上の両親の全員が同意している場合には、開示を認めない理由はないように思います。
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