以下は、朝日新聞デジタル(2014年2月25日)からの引用です。
「生活保護費の引き下げにより、最低限度の生活が送れなくなったとして、佐賀県有田町と佐賀市に住む40〜70代の男女14人が25日、それぞれの保護費の受給額を決定した県や佐賀市を相手取って、引き下げの取り消しを求める訴えを佐賀地裁に起こした。
弁護団によると、生活保護費引き下げの取り消しを求める集団提訴は全国初という。
国は、生活保護費のうち食費や光熱費に当たる生活扶助部分の基準を引き下げて、昨年8月から2015年4月にかけて3段階で670億円分削減する方針。
厚生労働省によると、引き下げに対する受給者から行政への不服申し立ては1月末で1万3千件近くに達する。
新年度には、申し立てを棄却された受給者の一部が集団訴訟を起こす方向で、支援団体などが呼びかけており、全国的な集団訴訟に発展する見込み。
訴状では、引き下げによって、原告らは食事の回数を減らしたり、暖房もつけずに布団にくるまって過ごしたりするようになり、憲法25条が保障する「健康で文化的な最低限度の生活」が送れなくなったと主張。
また、国がデフレなどを理由に生活保護費の削減を決めたのは、専門家の意見を踏まえず、根拠とした指数も、低所得世帯が支出する割合が少ない家電製品の価格の影響が強く表れる数字を採用しており、厚労相の裁量権の逸脱・乱用で、手続きも違憲だと主張している。
原告の有田町の松木隆照(たかあき)さん(51)は、減額決定に先立つ昨年7月、県に不服審査を請求。
残る13人も9月に請求したが、いずれも棄却された。
松木さんの提訴期限が3月初めに迫ったことから、佐賀の受給者が全国に先行して提訴した。
厚労省は「生活保護基準の見直しは、必要な適正化を図ったものであり、問題はないと考えている」とのコメントを出した。」
法テラスの代理援助を利用して、弁護士が代理人となって提訴、ということなのでしょうね。
このような集団事件の場合の着手金は、通常の場合より低額ですが、それでも、原告1人あたりの着手金が千円単位になるとは思えません。
仮に1万円とすると、1万3000人で1億3000万円ということになります。
しかも、生活保護受給者の場合、裁判中は取り敢えず法テラスに返さなくて良い(償還猶予)、勝訴したとすればその中から償還すれば良い、敗訴したとしてもその時点でなお生活保護受給者であれば全く法テラスに返さなくて良い(償還免除)、ということになっています。
提訴しなくても、提訴して敗訴しても、現状維持は変わらず、提訴して勝訴すれば+α、提訴しない理由はないということになります。
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