以下は、YOMIURI ONLINE(2014年2月18日)からの引用です。
「交際相手の女性の長男(当時2歳)に暴行を加えて死亡させたとして傷害致死罪に問われ、1審・福岡地裁小倉支部の裁判員裁判で無罪(求刑・懲役8年)とされた北九州市門司区の会社員男性(21)の控訴審判決で、福岡高裁は18日、1審判決を破棄し、審理を差し戻した。
川口政明裁判長は「1審は証拠の評価を誤り、推論によって事実を誤認している」と述べた。
裁判員裁判の無罪判決が、裁判官だけで審理される2審で破棄されるのは異例。
差し戻し審は裁判員裁判で審理される。
男性は19歳だった2012年3月、同市の女性宅で、長男の腹を圧迫するなどし、十二指腸破裂で死亡させた、として起訴された。
検察側は、母親が帰宅した際に現場にあった長男の嘔吐おうと物に十二指腸破裂を示す内容物が含まれていたことなどから、母親が不在で、男性と長男が一緒にいた同年3月6日深夜から翌7日未明の約3時間を犯行時間と主張した。」
1審の裁判員裁判の判決も、控訴審判決も見ていませんので、何とも言えないところですが、最高裁平成24年2月13日判決↓は、「刑訴法は控訴審の性格を原則として事後審としており、控訴審は、第1審と同じ立場で事件そのものを審理するのではなく、当事者の訴訟活動を基礎として形成された第1審判決を対象とし、これに事後的な審査を加えるべきものである。第1審において、直接主義・口頭主義の原則が採られ、争点に関する証人を直接調べ、その際の証言態度等も踏まえて供述の信用性が判断され、それらを総合して事実認定が行われることが予定されていることに鑑みると、控訴審における事実誤認の審査は,第1審判決が行った証拠の信用性評価や証拠の総合判断が論理則、経験則等に照らして不合理といえるかという観点から行うべきものであって、刑訴法382条の事実誤認とは、第1審判決の事実認定が論理則、経験則等に照らして不合理であることをいうものと解するのが相当である。したがって、控訴審が第1審判決に事実誤認があるというためには、第1審判決の事実認定が論理則、経験則等に照らして不合理であることを具体的に示すことが必要であるというべきである。このことは、裁判員制度の導入を契機として、第1審において直接主義・口頭主義が徹底された状況においては、より強く妥当する。」と判示していますので、よっぽどの不合理があったということなのでしょうね。
http://morikoshisoshiro.seesaa.net/article/253199143.html
破棄自判としない辺りは、やや弱気な感じがしますが、再度、裁判員裁判でということになるのでしょうから、負担が大きいですね。
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