2014年02月06日

「白斑被害予想できず」カネボウ、免責求める


以下は、YOMIURI ONLINE(2014年2月5日)からの引用です。

「カネボウ化粧品の美白化粧品を使って肌に白斑が残ったとして、東京都の40歳代女性が、製造物責任法などに基づき同社に約4700万円の損害賠償を求めた訴訟の口頭弁論が5日、東京地裁であり、同社側は「化粧品の開発時に白斑被害は予想できず、賠償責任は負わない」と反論した。

同社側は昨年11月の第1回口頭弁論で、化粧品に配合された美白成分が白斑の原因であることは認めていた。

ただ、5日に提出した書面では、「化学・医療の専門家も、美白成分によって白斑被害が起きることは予想できなかった」などと主張。

欠陥製品を販売しても、当時の専門知識では欠陥を認識できなかったならば、賠償責任は生じないとする同法の免責条項の適用を求めた。」




あれ、カネボウは、被害弁償をする意向ということだったのではないでしょうか。

という訳で、以下は、朝日新聞デジタル(2013年11月18日)からの引用です。

カネボウ、賠償請求の棄却求める 美白化粧品で白斑訴訟

「カネボウ化粧品の美白化粧品を使ったせいで、肌がまだらに白くなる「白斑(はくはん)」の症状が出たとして、東京都内の女性(41)が同社に約4800万円の損害賠償を求めた訴訟の第1回口頭弁論が18日、東京地裁であり、カネボウ側は自社の化粧品と女性の白斑との因果関係を認めた。

ただ、賠償責任がどの程度あるかが不確定だとして、請求棄却を求めた。

カネボウ側によると、日本皮膚科学会が白斑の発症メカニズムや治療法などについて研究・検討を進めており、その結果を待って具体的に反論するという。

訴状によると、女性は2011年7月、白斑症状の原因とされる美白成分「ロドデノール」を含む化粧品の使用を開始。

同9月ごろから顔や首、手に白斑が出始めた。

カネボウが自主回収を決めた今年7月まで使用を続けていた。

カネボウによると、白斑の被害者は1万6千人を超えるが、うち約3400人は症状が回復したという。

いまのところ訴訟に発展しているのはこの1件のみ。

カネボウは被害者に対し、治療費や慰謝料などを支払う意向を表明している。」




確かに、製造物責任法第3条は、「製造業者等は、その製造、加工、輸入又は前条第三項第二号若しくは第三号の氏名等の表示をした製造物であって、その引き渡したものの欠陥により他人の生命、身体又は財産を侵害したときは、これによって生じた損害を賠償する責めに任ずる。」と定める一方で、同法第4条は、「前条の場合において、製造業者等は、次の各号に掲げる事項を証明したときは、同条に規定する賠償の責めに任じない。」と定めており(立証責任の転換)、その1つとして「当該製造物をその製造業者等が引き渡した時における科学又は技術に関する知見によっては、当該製造物にその欠陥があることを認識することができなかったこと。」がありますので、理屈としては成り立ち得る主張ではありますが、立法の不備につけ込んだ主張という感じですね。

しかしながら、本件の場合、自主回収が遅れたようですので、欠陥があることを認識することができたのに自主回収しなかったことをもって、類推適用的に、製造物責任法による損害賠償責任を認める余地はあると思いますし、端的に、不法行為による損害賠償責任が認められる余地もあると思います。

ただ、そうなると、必ずしも全ての損害を賠償ということにはならず、自主回収が遅れたことによって拡大した損害のみの賠償ということになりかねず、ごく一部の賠償にとどまる可能性がありますし、その線引きも、非常に難しいと思います。

抜け駆け的な訴訟提起と、それに対する報復措置という感じで、お互いにとって残念な流れとなっているように思います。

双方とも、判決という一刀両断的な解決ではなく、和解による解決を目指して欲しいものです。

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posted by 森越 壮史郎 at 19:20| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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