以下は、YOMIURI ONLINE(2014年1月29日)からの引用です。
「裁判員裁判で被告の量刑を話し合う評議の進め方について、全国の60地裁・支部が初の検証に乗り出すことが分かった。
裁判員制度の導入後、検察の求刑を上回る判決が増え、裁判官らの間で「他の裁判員裁判の量刑と不公平が生じる」との懸念が強まっており、裁判官が量刑の決め方などを十分に裁判員に説明できているかどうか調査する。
各地裁は今夏までに検証を終える予定で、評議のあり方の見直しにつながる可能性がある。
裁判員制度が導入された2009年5月から13年10月までに判決が言い渡された5794人のうち、約50人に求刑を超える刑が言い渡された。
年平均で約10人に上り、裁判官裁判時代の平均2〜3人を大きく上回る。
例えば、女児の頭を床に打ちつけて死なせた傷害致死事件では、「児童虐待には厳罰を科すべきだ」として、両親に求刑(懲役10年)の1・5倍の懲役15年が言い渡された。
姉を包丁で刺殺した発達障害のある男が、再犯の恐れがあることを理由に、求刑を4年上回る懲役20年とされたケースもある。
検察側は過去の裁判例を踏まえ、判決で被告に有利な事情が考慮されて刑が軽くなることも想定し、求刑を重めに設定することが多い。
求刑を上回る判決が増えたことに対し、裁判官や弁護士からは「他の裁判員裁判の被告との間で不公平が生じる」と危惧する声が多く上がっている。
裁判所が目指すのは、過去の裁判例を踏まえた適正な量刑判断だ。
裁判員制度の導入直後は、裁判官が裁判員に、〈1〉犯行形態〈2〉被害の大きさ〈3〉犯行の計画性や動機――などの要素を踏まえることを説明し、過去の類似事件の量刑を集めた「量刑検索システム」も参考にして量刑を判断するものと考えられていた。
しかし、求刑を上回ったケースでは、「どのような要素を重視して刑を重くすべきだと判断したのか不明確な判決が散見される」(最高裁関係者)という。
このため、各地裁の検証では、裁判所法で定められている「評議の秘密」に触れない範囲で、個々の裁判官に、量刑の判断方法を裁判員にどう説明し、量刑検索システムをどう活用しているのか発表してもらい、その後、裁判官同士で評議のあり方を議論する。
東京地裁ではすでに裁判部ごとに検証を始めた。
各地裁の検証結果を踏まえ、最高裁でさらに議論される。
最高裁関係者は「今回の検証は、より充実した評議を実現するためで、裁判員の市民感覚を尊重する姿勢は変わらない」と話している。
【評議】
裁判員と裁判官が、被告の有罪・無罪や量刑を話し合い、結論を導き出す議論。
通常、証人尋問や被告人質問を経て結審した後、裁判官を進行役として行われる。
ただ、非公開で、内容について守秘義務も課せられており、どのような議論を経て刑を決めたのか、その経緯を外部から把握することは難しい。
最高裁によると、1事件での評議の平均時間は約9時間半。」
高裁で破棄されましたが、こんなひどい判決もありましたね↓
http://morikoshisoshiro.seesaa.net/article/284561604.html
http://morikoshisoshiro.seesaa.net/article/336146671.html
裁判官は、毎日毎日犯罪を取り扱っているので、犯罪に鈍感になっているのに対し、裁判員は、一生に一度あるかないかのことで、激しい衝撃を受けるので、厳罰化傾向になるのは当然のことではないかと思います。
一方で、統計的なデータは知りませんが、感覚的には、裁判員裁判では、無罪判決の割合も増えたように思います。
同じく、裁判官は、罪を逃れたい一心の虚偽の否認事件を沢山取り扱っており、いわば否認に鈍感になっているのに対して、裁判員にとっては、初めてのことなので、敏感かつ慎重な判断になるのではないかと思います。
こういう最高裁判決もありましたが、いかがなものでしょうかね↓
http://morikoshisoshiro.seesaa.net/article/378611885.html
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