以下は、毎日新聞(2014年01月08日)からの引用です。
「政府は、罪を犯した高齢者や障害者を福祉につなぐ活動に携わった弁護士の費用について、国が立て替える制度を創設する検討を始めた。
初犯者を含め、累犯に陥る可能性がある高齢者や障害者の社会復帰支援を強化することも狙いにあり、早ければ2014年秋の臨時国会に関連法案を提出する。
生活苦から万引きや無銭飲食を繰り返す高齢者や知的障害者を巡っては、弁護士が捜査や公判の段階で福祉による保護を確約し、執行猶予判決などを得て服役を回避する取り組みが活発になっている。
だが、現状では弁護士が手弁当で引受先の福祉施設や行政機関と調整するケースも多く、法的な手当ての必要性が指摘されていた。
このため政府は、資力の乏しい人が民事訴訟を起こす際に弁護士費用の立て替えを受けられる民事法律扶助制度の範囲を拡大し、弁護士の福祉的活動にも適用する方向で検討。
民事法律扶助を扱う日本司法支援センター(法テラス)の業務を定めた総合法律支援法を改正する方向で調整している。
立て替え費用は、原則として問題解決後に返還する必要があるが、生計困難などの事情があれば免除することも想定する。
高齢者や障害者の周辺では、多重債務や詐欺的商法、不動産売買などに絡む法的トラブルを抱えながら孤立し、誰にも気づかれない例が多い。
近年では、弁護士が福祉や行政などの関係機関と連携して問題解決に乗り出す「司法ソーシャルワーク」と呼ばれる取り組みが進んでいる。
法改正によって、こうしたケースで生じる弁護士費用も立て替えの対象になる見通しで、弁護士の福祉的活動の幅が広がることになる。
◇被害者支援も拡充
総合法律支援法の改正案には、ストーカーやドメスティックバイオレンス(DV)の被害者支援策の拡充も盛り込まれる見通しだ。
ストーカーやDVが殺人などの重大事件に発展することもあるため、民事法律扶助を利用する被害者の事前の資力審査を撤廃し速やかに対応できるようにする。
また、民事法律扶助で国が立て替える弁護士費用の範囲も拡大する方針。
現在は民事訴訟やその準備を依頼する場合に限って、法テラスを通じ弁護士費用を立て替えているが、現実には捜査機関や加害者側との交渉、シェルターへの入所手続きなど、支援内容は多岐にわたる。
改正案ではこれらの業務も援助対象に含めることが検討されている。」
手弁当よりはマシなのかも知れませんが、法律扶助の適用範囲内ということになれば、半ば強制的に、法律扶助を利用した上で、様々な手続を行わなければならなくなるのでしょうね。
そして、その弁護士費用は、恐ろしく安価に設定される。
何せ、被疑者国選の基礎報酬は僅か26,400円、被告人国選の基礎報酬は66,000円から、被疑者国選から継続して被告人国選に移行すると、減額までされますので↓
http://www.houterasu.or.jp/cont/100179991.pdf
ところで、国選弁護は、言葉のとおり、国が選任するから問題となりませんが、障害者などの場合、本人に契約締結能力がない場合には、どうなるのでしょうか。
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