以下は、西日本新聞(2014年01月04日)からの引用です。
「貸金業者に払いすぎた利息を取り戻す「過払い金返還請求」をめぐり、司法書士による違法行為が疑われる事案が全国で相次いでいる。
司法書士は、弁護士法などで140万円以下の案件しか代理業務ができないと規定されているが、依頼者の訴訟を“支援”する名目で弁護士と同等の報酬を得たり、本来より低額で請求をして140万円以下の業務に見せかけたりする手口が目立つ。
こうした行為によって返還額を少なく抑えられ、業者側からも問題視する声が出始めた。
関西の大手貸金業者は2012年5月以降、交渉相手の司法書士による不正事案が全国で99件(九州分は6件)あったとして、法務局に懲戒請求。
同社は「不正な交渉に加担したと責任を問われかねず、懲戒請求することにした」と話す。
このうち約170万円を請求した佐賀県の60代女性は、相談した司法書士(福岡市)から「交渉はこちらで進めるが、140万円を超えるので法廷には自分で行ってほしい。法廷では『はい』『いいえ』だけを言えばいい」と指示された。
女性は佐賀地裁の第1回口頭弁論に出廷したが、仕事を休めず第2回以降は出られそうになかった。
すると司法書士側から「出廷できないなら和解案を受け入れるしかない」と言われ、約130万円の和解に同意。
司法書士には約3割を報酬として払った。
後に、弁護士に相談すれば自ら出廷する必要がなく、より報酬が安い弁護士事務所があることも知った。
女性は「知識がないことにつけ込まれた。許せない」と話す。
取材に対し、この司法書士事務所は「訴訟支援をしただけなので代理業務ではなく、違法性はないと考えている。女性も納得していたはず」と答えた。
熊本県の50代男性のケースでは、業者側は約150万円の過払いがあると計算したのに、司法書士(熊本市)が請求したのは約110万円。
和解後、この業者の調査に男性は「詳しい説明がないまま請求額を減額された」と話したという。
他にも依頼者が望まないのに勝手に司法書士が提訴したり、和解金を着服したりした疑いのある事例もある。
別の大手貸金業者(東京)は「不正が疑われる場合は、司法書士会に改善を求めるようにしている」という。
日本司法書士会連合会(東京)は「トラブルを防ぐため、適切な業務をするように呼び掛けている」としている。
「最後の客」争奪
司法書士による不適切な業務が相次ぐ背景には、“過払いバブル”が終息に向かい、一部の弁護士や司法書士が「最後の客の奪い合い」(法曹関係者)をしているという事情がある。
最高裁が2006年、利息制限法の上限(年利15〜20%)を超える利息を無効とする判断を示して以降、過払い金をさかのぼって返還請求できるようになった。
時効は10年のため、問題が続くのは16年ごろまでとみられる。
日本貸金業協会によると、全国の業者が返還した過払い金は08年度がピークで約1兆円、12年度は約5千億円だった。
司法書士は03年から、法務省の認定を受ければ140万円以下の訴訟の代理人になれ、過払いに特化して業務をする事務所もある。
一方で、権限外の代理業務をしたとして懲戒処分を受けたり、弁護士法違反(非弁活動)容疑で逮捕されたりした司法書士もいる。
ある業者から「債務者の名簿があるので、過払いビジネスをやらないか」と持ち掛けられた経験がある福岡市内の司法書士は「過払い金は、利息計算など専門的な知識が必要で、依頼者は損をしても気付きにくい。表面化した不正は氷山の一角だろう」と話した。」
いまだに過払金返還請求↓に絡んでとは、実に今更の感がありますが↓、業者側からの懲戒請求ですか。
http://morikoshi-law.com/kabarai.html
http://morikoshisoshiro.seesaa.net/article/274528113.html
http://morikoshisoshiro.seesaa.net/article/287841541.html
我々弁護士に対しては、非弁を理由とする懲戒請求はできませんが、過払金返還請求に応じたくないがために、様々な理由を付けて、懲戒請求を行ってくる業者もいるという話は聞きます。
私自身は、幸いにして、そのような事態となったことはありませんが。
2011年4月1日以降に新たに受任する事件から適用されることになった日弁連の「債務整理事件処理の規律を定める規程」↓では、過払金に関する報酬は、訴訟によらない場合は回収額の20%以下、訴訟による場合は回収額の25%以下ということになっていますが、私自身は、ほぼ満額の回収を目指すとどうしても訴訟になることが多いので、訴訟による場合を含めて、一律20%+消費税(実費別)にしています。
http://www.nichibenren.or.jp/contact/cost/legal_aid/saimuseiri.html
でも、本当に大切なのは、報酬の割合が多少多いか少ないかではなく、どれだけ妥協しないかだと思いますし、それは、過払金返還請求に限らず、交通事故による損害賠償請求や、その他のどんな事件でも、同じことだと思うのですが、そこのところを理解して貰うのは、容易ではありません。
どんな事件でも、専門的な知識が必要なことは当然のことで、依頼者は、損をしても、気が付きにくいだけでなく、逆に、得をしているのに、気が付いて貰えないことも、あるように思います。
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