2013年11月29日

1人がHIV陽性=感染者血液を輸血、抗体検査で−日赤


以下は、時事ドットコム(2013/11/26)からの引用です。

「エイズウイルス(HIV)に感染した献血者の血液が、日本赤十字社の検査をすり抜けて患者2人に輸血されていた問題で、輸血を受けた60代男性が抗体検査でHIV陽性となったことが26日、明らかになった。

厚生労働省の委員会で日本赤十字社が報告した。

もう1人の感染の有無は不明。

日赤によると、献血をしたのは40代の日本人男性。

今年2月に献血を行った際、6カ月以内に同性との性交渉があったが、申告していなかった。

輸血された2人は特定され、日赤が感染の有無を調査。

うち慢性消化器疾患を患う60代男性は、10月に血液製剤を輸血されており、今月に行った抗体検査で陽性反応が出た。

日赤は、2月に輸血を受けたもう1人の患者については、詳細を説明しなかった。」





続いて、以下は、毎日jp(2013年11月26日)からの引用です。

<HIV感染輸血>検査目的で献血、絶対やめて

日本赤十字社はHIV感染者の献血が輸血されることを防ぐため、安全検査の精度向上と、感染リスクの高い行動をとっていないかを調べる献血前の問診に力を注ぐ。

だが、感染直後でウイルスや抗体が微量だったとみられる今回のすり抜け事例では、NATによる再調査を1人分だけで3回実施したが、陽性反応が出たのは1回分だけだった。

日赤幹部は「安全検査には限界がある」と漏らす。

日赤は献血でHIV感染が判明しても献血者に告知していない。

だが、年間延べ約530万人の献血者のうち2011年で89人、12年は68人のHIV感染が確認された。

国内のHIV感染率に比べ約2倍の感染率。

勘違いして検査目的で献血している可能性が高く、日赤幹部は「絶対やめてほしい」と訴える。

日赤によると、豪州では問診で虚偽申告してHIV感染者が献血すると、刑事罰も科せられる。

一方、日本では「献血は善意で成り立つ」との考えから傷害容疑などで告発した例はない。

厚労省の担当者は「一般の診療所でもHIV検査を受けやすくするなど態勢作りが先決」と話す。」




更に、以下は、YOMIURI ONLINE(2013年11月27日)からの引用です。

献血からHIV55件…輸血には使われず

「厚生労働省エイズ動向委員会は27日、今年1〜9月に献血された約390万件の血液のうち、エイズウイルス(HIV)検査で陽性となった血液が55件あったと発表した。

55件の血液はすべて廃棄され、輸血には使われていないが、日本赤十字社は2月に1件の血液が検査をすり抜けて患者2人に輸血され、1人がHIVに感染したことを、26日までに確認している。

厚労省は「HIV検査を目的とする献血が、依然として続いている可能性がある」として、HIV検査は保健所などで行われる無料の匿名検査を利用するよう呼びかけている。

エイズ動向委によると、今年9月までの献血数は390万8307件。

献血のHIV検査の陽性率は10万件当たり1・41件で、国内でHIVの新感染者が見つかる割合より約2倍高い。

昨年は1年間で68件検出され、陽性率は同1・29件だった。」




何で検査をすり抜けるなどということが起きるのかと思ったら、「ウイルス感染直後の血液は、検査で感染を判別できない期間(ウインドウ・ピリオド)があり、その期間の血液が紛れ込んでいると検査をすり抜け、患者さんにウイルスを感染させてしまう恐れがあるからです。例えばエイズウイルス(HIV)の場合、抗体検査では感染から約22日間は、検査で見つけることができません。」ということだそうです↓
http://www.jrc.or.jp/blood/flow/test/

「感染直後でウイルスや抗体が微量だったとみられる今回のすり抜け事例では、NAT(核酸増幅検査。抗原や抗体ではなくウイルスを構成する核酸(DNAまたはRNA)の一部を約1億倍に増幅しウイルスの有無を検出する検査↑)による再調査を1人分だけで3回実施したが、陽性反応が出たのは1回分だけだった。」そうですので、致し方ないのでしょうね。

アメリカでは、こんな恐ろしい事件もありましたが↓、本件の場合、ひょっとしたら自分がHIVに感染しているかも知れず、輸血により感染させてしまうかも知れないということで、未必の故意による傷害罪が成立するのでしょうか。
http://morikoshisoshiro.seesaa.net/article/374422362.html

検査しても発見できない場合があるということを知らなければ、本人の認識としては、献血でHIV感染が発見されれば輸血に使われることはなく、HIV感染が発見されなれけば輸血しても問題ないということになるので、故意犯を問うのは難しく、過失傷害罪止まりでしょうか。

勿論、民法上の不法行為は成立しますが。

「日赤は献血でHIV感染が判明しても献血者に告知していない」ということも初めて知りましたが、「保健所などで行われる無料の匿名検査」というのがあることも初めて知りました。

より積極的な広報が必要なのではないでしょうか↓
http://www.hivkensa.com/

このブログの筆者のホームページはこちら
posted by 森越 壮史郎 at 12:45| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:


この記事へのトラックバック