以下は、朝日新聞デジタル(2013年11月19日)からの引用です。
「大手損保会社の間で、自動車保険の約款に暴力団排除(暴排)の条項を盛り込む動きが広がっている。
組員と分かれば、その時点で契約を解除する。
ただ、任意保険をかけずに車を運転する組員が事故を起こした場合、被害者の補償をどうするかという新たな課題も生まれている。
日本損害保険協会に加盟し、自動車保険を扱う損保17社に取材したところ、いずれも、約款改定の時期である10月から導入したか、導入を検討している。
協会が全国的な流れを受け、昨年12月に暴排に向けたモデル約款を策定し、加盟各社に採り入れるよう勧めた。
あいおいニッセイ同和は今年10月に導入。
担当者は「事故時に契約相手が反社会的勢力と分かっても、約款にない以上、保険金を支払わざるを得なかった。これからは事故が起きた後でも、契約相手が暴力団だと分かった時点で契約解除ができる」と話す。
ただし、事故が契約解除前の場合、被害者に対人・対物賠償保険は支払われる。
損保ジャパンや日本興亜は、全国で暴力団排除条例が施行され始めた2011年ごろから、契約者が暴力団員と分かれば更新しない方針を徹底してきたが、約款にはなかった。
今後は新たに条項を設ける。
車を運転する場合、自賠責保険への加入は強制だが、任意保険に入るかどうかは自由。
ただ、自賠責だと事故相手に払える金額に上限(けがだと120万円、死亡だと3千万円など)があり、任意保険も併せて入るのが一般的。
損保各社で任意保険の契約を断られた組員が、自賠責保険だけで車を走らせる可能性がある。
任意保険に入っていない車に事故を起こされた場合に、自身が入る保険を適用できる商品を扱う会社もあるが、全ての被害者が救えるわけではない。
■組長ら不安口々「娘の名義に…いずれダメ」
福岡県内の指定暴力団系組長は半年ほど前、なじみの保険会社から「(組長は)ヤクザだから今後、契約するのは難しい」と告げられた。
所有するベンツ1台の保険が自分名義といい「契約者を娘の名義にして、自分も補償対象になるような契約に変えようと思うが、それもいずれは(家族も契約できない対象に含まれて)ダメになるだろう」と話す。
心配するのは若い組員のことだ。
「事故を起こしたら、金に困ってひき逃げをしてしまうんじゃないか」
神奈川県内に住む指定暴力団系の組員は国産高級車に乗るが、加入していた自動車保険を扱う損保会社から「反社会的勢力なので、保険の更新ができない」と契約を打ち切られた。
身分を隠して他の保険会社と契約することを考えたが「逮捕はやっぱり怖い」とやめた。
今はほぼ毎日、組員に運転させている。
「とにかく事故をさせないよう、スピードは落とせと言っている。もし人身事故なんて起こしたらとても補償できない」と不安を口にする。
日本損害保険協会の担当者は「警察や弁護士と慎重な協議を重ねてきた結果。被害者救済の観点から自賠責保険については暴排条項の対象外としている。他の損害保険に暴排条項を加えているなか、自動車保険だけ導入しない合理的な理由はない」と話した。」
被害者救済の観点というのであれば、車両保険はともかくとして、対物保険や対人保険にも加入させないというのは、どうなんですかね。
暴力団関係者からの請求なのかどうかは逐一確認していませんが、判例雑誌で、保険金の支払請求を棄却した保険会社側勝訴の判決は結構見かけるところですので、保険会社にとっては、渡りに船なのでしょうが。
今の任意保険には、人身傷害補償特約↓がセットになっていると思うのですが、飽くまで、任意保険の基準という限界があります。
http://morikoshi-law.com/faq3-4.html
無保険車特約↓などもセットとなっているか、確認する必要がありますね。
http://morikoshi-law.com/faq3-6.html
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