以下は、毎日jp(2013年11月18日)からの引用です。
「◇契約書確認、公共料金督促、虐待対応…
弁護士ら法曹有資格者を職員として採用する自治体が増えている。
日本弁護士連合会(日弁連)によると、今年度の採用者数(10月1日現在)は既に5年前の14倍に急増し、現在は48自治体に64人が勤務。
法改正で弁護士の公職兼務が可能となり、地方分権に伴う業務多様化で自治体側のニーズが高まっているうえ、司法制度改革で弁護士が急激に増えたことなどが背景にあるようだ。
福岡県糸島市は7月、弁護士資格を持つ舞弓紫(まゆみ・ゆかり)さん(33)を総務課法制係の担当課長として採用。
任期は2016年3月までだ。
07年から弁護士として交通事故や離婚を巡る訴訟などを手がけてきたが「一般の弁護士が行政分野の法律事務に集中して関わることは少ない。飛び込んで知識を広めたい」と応募したという。
未払い水道料を督促する文書や、土地売買の契約書を法的に問題ないかチェックするなど、市が関わるあらゆる業務に助言。
職員の法律の知識を高める研修を開くのも役割だ。
市の友池重藤総務課長は「同じ職員なので顧問弁護士より気軽に相談しやすい。その時点で解決する問題もあり、顧問への相談は減った」。
舞弓さんは「この町の特徴や行政事務に詳しくなり、適切な助言をして役に立ちたい」と意気込む。
このほか、弁護士が児童虐待など専門分野に特化する例もある。
福岡市の児童相談所「こども総合相談センター」には、虐待を受けた子どもを親から強制的に引き離す「職権保護」などを担当する弁護士が常駐する。
日弁連によると、年度ごとの自治体の法曹有資格者採用数は08年度は2人だったが、11年度は14人、今年は既に28人。
来春も少なくとも5人が採用予定で、今後も増える見通しだ。
九州・山口では福岡、山口、宮崎各県と鹿児島県南さつま市などが採用している。
法曹有資格者採用増の要因には、地方分権一括法施行(00年)がある。
これで自治体の裁量が広がり、独自の事業実施が可能になったが、同時に難しい法的判断が必要な場面も増えている。
しつこく苦情を繰り返し、謝罪を求める「クレーマー」への対応などもその一つだ。
また、法曹有資格者側の事情もある。
司法制度改革で弁護士が急激に増え、法律事務所の雇用先がないため借金を抱えて独立。
経験不足のために更に生活に苦しむ事例もあるという。
弁護士の就職難だけでなく、法科大学院の人気低迷も深刻化し、政府は今年7月の法曹養成制度関係閣僚会議で司法試験合格者年間3000人の目標を撤回した。
そんな就職難にあえぐ若手弁護士にとって、改正弁護士法施行(04年)で公職兼務が可能になったことは、キャリアアップに絶好の機会となるようだ。
今春、福岡県弁護士会会長に就任した橋本千尋弁護士は各自治体にあいさつ回りした際、弁護士採用を呼びかけた。
橋本会長は「採用はまだ手探り状態。弁護士向けの会報に体験談を載せており、自治体での勤務状況を広く知ってもらいたい」と話す。」
確かに、自治体の職員募集の案内は、それなりに見かけるようになりましたが、毎年2000人近い新人弁護士が生まれているのに、10人単位では、微々たるものです。
しかも、私が見た限りでは、全て任期付だったと思います。
自治体に勤務する以上は、自治体の職務に専念しなければならいないのは当然でしょうから、余程の大事務所で、事件を全部事務所内で引き継げて、任期満了後には事務所に戻ることができるという環境でもあれば別ですが、おいそれと募集できるようなものではありません。
2〜3年の任期の間は、安定した収入が得られますし、それなりに勉強にはなるとは思いますが、その間に、同業者は、着々と、弁護士としての基盤や信用や人脈を築いていくことになりますので、「キャリアアップ」と言えるのかどうか、何とも言えないところです。
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