2013年11月15日

夫の死後、凍結精子で体外受精――産婦人科施設2割「問題ない」 岡山大調査


以下は、朝日新聞デジタル(2013年11月14日)からの印紆余です。

「死亡した夫の凍結精子を体外受精させる「死後生殖」について、日本産科婦人科学会(日産婦)に登録している415施設のうち20%が、日産婦が認めていないにもかかわらず「倫理的に問題ない」と考えていることが、岡山大の調査でわかった。

調査した研究者は「将来広がる可能性もあり、是非を含めて議論が必要だ」と話している。

精子の凍結は、がん治療で精子を作る機能が低下する恐れのある場合などに行われ、数年間は保存できる。

最高裁は、死後生殖での父子関係を「民法は想定していない」として認めない判断をしており、日産婦は2007年、凍結精子を「本人が死亡した場合、廃棄」とする見解を出した。

岡山大の中塚幹也教授(生殖医学)らは昨年6〜8月、日産婦に登録している病院など1157施設に死後生殖への意識や実施する可能性などを質問する調査用紙を郵送。

415施設から有効回答を得た。

死後生殖を問題ないと回答した施設は、精子提供者が既婚のがん患者の場合には20%(83施設)だった。

一方、未婚で健康の場合でも4・6%(19施設)あった。

また、「死後生殖を実施する可能性がある」と答えた施設は、3・6%(15施設)あった。

家の跡取りを得る目的で死後生殖をしようとする場合、夫婦の親の意向などが入り、故人や妻の本当の意思がわかりにくくなるなどの問題がある。

中塚教授は「同意の確認方法や子どもの立場の保護など難しい点が多い」と話している。

調査結果は16日、神戸市で開かれる日本生殖医学会で発表される。」




死後生殖による父子関係を否定した平成18年9月4日最高裁判決は↓
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=33488&hanreiKbn=02

原審の平成16年7月16日高松高裁判決は↓
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=24449&hanreiKbn=03

この事案では、平成12年に保存精子を用いて体外受精が行われ、翌平成13年に出生していますので、今から優に10年以上前から、凍結精子による死後生殖が行われていることになります。

平成15年に、法務省の法制審議会の生殖補助医療関連親子法制部会の中間試案が出されて、パブコメまで行っているようですが、どういう訳か、その後、一向に進んでいないようです↓
http://www.moj.go.jp/shingi1/shingikai_seishoku.html

死後生殖に限らず、様々な問題が生じているのですから↓、慎重かつ迅速な議論が求められるところです。
http://morikoshisoshiro.seesaa.net/article/375159211.html
http://morikoshisoshiro.seesaa.net/article/377764620.html
http://morikoshisoshiro.seesaa.net/article/380112112.html

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