以下は、朝日新聞デジタル(2013年11月8日)からの引用です。
「刑事司法改革で議論されている取り調べの録音・録画(可視化)について、一定の例外を認めたうえで、取り調べの全過程を対象とする案が採用される見通しとなった。
ただ、対象が裁判員裁判の事件に限られたのに加え、「関係者の名誉・心情が著しく害されるおそれがある場合」などを除外する考えが浮上。
捜査当局の解釈次第で例外の幅が広がり、「骨抜き」にされる懸念も高まっている。
裁判員裁判の対象事件は殺人や強盗致死など、刑事裁判の約2%(昨年)に過ぎない。
取り調べのあり方が問題となった地検特捜部の通常の独自事件や、虚偽自白が判明したパソコン遠隔操作事件は含まれない。
可視化は、大阪地検特捜部の証拠改ざん事件を受け、法制審議会(法相の諮問機関)の「新時代の刑事司法制度特別部会」(部会長、本田勝彦・日本たばこ産業顧問)で議論。
7日、特別部会が5カ月ぶりに再開され、法務省が、いずれも裁判員裁判事件だけを対象とする2案を示した。」
刑事裁判全体の僅か2%の裁判員裁判事件だけで、しかも検察・検察の判断で除外可ですか。
我々が、裁判所に対して、刑事裁判への市民の参加を求めた結果が、今の裁判員裁判なんだから、
取調べの可視化も、同じ範囲で良いではないか、という発想でしょうか。
数年前に、しかも試験的にごく少数の機械を導入したから、もの凄く高くついたのであって、今は、防犯カメラや車載カメラがこれだけ普及しており、スマホですら動画を撮影できる時代ですから、警察・検察の全取調室に機械を設置するとしても、膨大な予算が必要とは思えません。
後は、取り調べを始める前にDVDを挿入するなりしてスイッチON、終わったらスイッチOFF、それだけの話で、親が子供の行事で行っている録画に比べれば、実に造作ないことです。
何か弊害があるのであれば、公判前整理手続などの非公開手続の中で確認して、証拠として採用しないなり、問題のある部分を削るなりすれば良いだけの話ではないでしょうか。
要するところ、録画さえしなければ、有能な警察官・検察官は、関係者の名誉・心情が著しく害されるおそれがあるような調書は作成しないから大丈夫ということになりますが、それは、問題のある取り調べや虚偽自白も同じことです。
調書が、検察官や警察官の作文以外の何物でもないことを、自白しているようなものではないでしょうか。
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