以下は、YOMIURI ONLINE(2013年10月31日)からの引用です。
「グーグルの検索サイトで、自分の氏名を入力すると犯罪を連想させる単語が一緒に表示され、名誉を傷つけられたとして、東京都の男性が米グーグルに表示の削除などを求めた訴訟の控訴審で、東京高裁(井上繁規裁判長)は30日、名誉毀損(きそん)に当たらないとした1審・東京地裁判決を支持し、男性側の控訴を棄却する判決を言い渡した。
男性の代理人の弁護士によると、男性側は、検索サイトに氏名と過去に犯罪を起こした団体名が並んで表示され、精神的苦痛を被ったと主張したが、高裁は1審同様、「表示された氏名と団体名が関連づけられてはおらず、名誉毀損は成立しない」などと判断したという。」
あれ、1審は名誉毀損を認めていたのではなかったですかね↓
http://morikoshisoshiro.seesaa.net/article/355830891.html
と思ったら、同じ東京地裁ですが、全く別の事件で、名誉棄損を認めないという判決があったのですね。
という訳で、以下は、MSN産経ニュース(2013.5.30)からの引用です。
「検索」単語の予測表示、名誉毀損認めず 東京地裁
「インターネット検索大手グーグルの「サジェスト機能」で犯罪行為への関与を連想させる単語が表示され名誉を傷付けられたとして、東京都内の男性が米国のグーグル本社などに表示差し止めを求めた訴訟の判決が30日、東京地裁であった。
本多知成裁判長は男性側の請求を棄却した。
検索用の枠に単語を入力すると関連性の高い別の単語が予測表示される同機能をめぐっては、東京地裁の別の担当部が4月、同様のケースで名誉毀損(きそん)を認定。
グーグルに賠償を命じる判決を言い渡しており、判断が分かれた。
訴状によると、男性は過去に犯罪行為に関与したとする中傷記事がネット上に掲載され、同機能で男性の名前を入力すると犯行を連想させる単語が表示される。
原告側代理人によると、本多裁判長は男性と連想語の並列表示が直ちに名誉を毀損するとはいえない、との判断を示した。」
判決全文が見られないのではっきり分からないのですが、「表示された氏名と団体名が関連づけられてはおらず」とか「男性と連想語の並列表示」ということからすると、例えば、「〇〇は前科者」だと名誉棄損にあたるけど、「〇〇 前科者」は名誉棄損にあたらないということなのでしょうね。
まるで、「お前の母ちゃん 出べそ」は、「お前の母ちゃんは出べそ」じゃないから構わない、と言っているようなもので、それもどうかと思いますが。
もう1件の控訴審判決もそのうち出るのでしょうが、今回の控訴審判決を当然意識せざるを得ないでしょうね。
グーグル側の代理人の弁護士としては、双方の控訴審での裁判官の心証を伺いつつ、勝訴するであろうと判断したこちらの結審・判決言渡しを先行させるように、もう1件の事件の進行を調整したのではないかと思います。
このブログの筆者のホームページはこちら