以下は、朝日新聞デジタル(2013年09月22日)からの引用です。
「相続人がおらず、死後に国に入った財産の総額が2012年度に375億円に上り、記録の残る1992年度以降で最高額を更新したことが、最高裁のまとめでわかった。
身寄りのないお年寄りの増加などを背景に、行き場のない財産が増えている。
配偶者や子どもら相続人がいなかったり、相続人が相続できる権利を放棄したりすると、裁判所が「相続財産管理人」を選任し、亡くなった人の財産を整理する。
相続財産管理人は、必要に応じて不動産や株を売り、債務を返済する。
また、長年一緒に暮らしたり、老後に世話をしたりした「特別縁故者」から申し立てがあれば、財産を分け与える。
こうした手続きを終えても、なお残る財産が国庫に入る。
その総額は、01年度は107億円だったが、11年度には332億円と300億円を突破。12年度は375億円に上った。
相続財産管理人を務めた経験がある弁護士は「家族がいなくても、縁がある人に財産を分けたいと考える人は少なくない」と話す。
だが、生前に遺言書を作成しておかなければ、その意思が届かない恐れもある。
■分与の意思は遺言を
「数億円も財産を残した人も、相続人がいなくて、ほとんどが国に入りました」。
7月、神奈川県逗子市で開かれた遺言・相続に関するセミナー。
横浜弁護士会が派遣した講師が、相続財産管理人としての体験を披露した。
管理人に選任されると、家の中のゴミを片付けることから始まる。
作業しやすいようにポロシャツにジーンズ姿で亡くなった人の家に向かう。
家財の裏から数百万円のたんす預金を見つけたこともある。
「知らない人に財産探しをされるのはとてもつらいこと。本人としては無念だったと思う」
セミナーに参加した逗子市内の男性(77)は「自分の周りでも、身内がいない人がけっこういる。頻繁にある話だろう」と語った。
自身は妻子がいるが、独身の息子については「一人っ子で、財産がどうなってしまうのか心配だ」。
横浜家裁管内だけでも、12年度に国庫に入った財産は46億6千万円。
世話になった人に財産を分けたり、慈善団体に寄付したりする意思を残すため、生前に遺言書をつくり、遺言の執行者を決めておくことを講師は勧めている。」
特別縁故者に対する相続財産分与という制度があり↓、法文上は、「相続財産の全部又は一部」を分与することができることになっていますが(民法958条の3)、実務的には、多額の財産を全部分与してもらったという話は、聞いたことがありません。
http://www.courts.go.jp/saiban/syurui_kazi/kazi_06_16/
期間の制限もありますし、そもそも、自分がお世話になった人が、こういう制度があることに気が付かなければ、どうしようもありません。
お国のおかげで築いた財産だから、お国に全部差し上げたいというのであればともかく、そうではないのであれば、公正証書遺言を作成することをお勧めします↓
http://morikoshi-law.com/yuigon.html
札幌弁護士会所属弁護士森越壮史郎法律事務所ホームページ