2013年09月18日

性別変更の男性と人工授精の子、親子と認めず 大阪家裁


以下は、朝日新聞デジタル(2013年9月13日)からの引用です。

「心と体の性が一致しない障害で、女から男に性別を変えた兵庫県宍粟(しそう)市の男性(31)が、第三者の精子を使った人工授精で妻(31)が産んだ次男(1)との親子関係の確認を求めた訴訟の判決が13日、大阪家裁であった。

久保井恵子裁判官は「民法の実子の規定は血縁関係の存在が前提だが、性別変更した男性との性的交渉により妻が次男を生んだのでないことは明らかだ」と述べ、男性の請求を棄却した。

男性は控訴する方針。

判決は「現行民法は人工授精などによる父子関係を想定していない」と指摘。

さらに、「夫の同意があれば父子関係を認めることは立法論として十分考えられるが、そのような立法がない以上、法律上の親子関係を認めることはできない」と結論づけた。

男性側は「性別変更を理由に認めないのは、法の下の平等を定める憲法に違反する」と主張したが、判決は「民法の適用に差別はない」と退けた。

判決などによると、男性は2008年3月、性別を変え、翌月妻と結婚。

精子提供を受けて12年5月に次男をもうけ、本籍地の東京都新宿区に嫡出(ちゃくしゅつ)子(婚内子)として出生届を出した。

だが、男性の戸籍を確認した新宿区は「血縁関係は認められない」と判断。

次男を非嫡出子として扱い、戸籍の父の欄を空欄にしていた。

男性は、同様に戸籍の父の欄を空欄にされた長男(3)についても別の訴訟で争っている。

〈性同一性障害特例法〉

心と体の性別が一致しない人の性別変更について定めた法律で、2004年7月に施行。

複数の専門医が診断▽20歳以上▽性別適合手術を受けた▽未成年の子がいない――などの条件を満たせば、家裁に性別変更を申し立てられる。

12年末までに3584人が認められた。

法務省によると、性別変更した男性が結婚後、妻が第三者の精子でもうけた子の出生届を出した例は9月現在で33人。 」




どうやら、こちらが長男についての報道のようですね↓
http://morikoshisoshiro.seesaa.net/article/249688527.html
http://morikoshisoshiro.seesaa.net/article/260187958.html

法相に、「非常に重要な問題なので検討したい」との見解を示させ、更に、判決で、「夫の同意があれば父子関係を認めることは立法論として十分考えられる」と判示させたのですから、結論はともかく、訴訟を提起した意義は充分あると思います。

性同一性障害の方に限らず、男性側であれば精子の提供を受けたり、女性側であれば卵子の提供を受けたり、あるいは代理出産をして貰ったりということが可能な時代です。

提供者が匿名ということで、遺伝子学的な問題がないのか、生まれた子供自身に知る権利はないのか。

しかも、凍結精子や凍結卵子で、父親や母親が死亡した後に受精して、生まれてくるということもあり得るのでしょうね。

非常に難しい問題ですね。

札幌弁護士会所属弁護士森越壮史郎法律事務所ホームページ
posted by 森越 壮史郎 at 19:38| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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