以下は、朝日新聞デジタル(2013年08月25日)からの引用です。
「高齢者施設で暮らす患者をまとめて紹介してもらい、見返りに診療報酬の一部を紹介業者に支払う医師が増えている。
訪問診療の報酬が外来より高いことに着目した「患者紹介ビジネス」に加担している形だ。
法令の規制はなく、厚生労働省は「患者をカネで買うような行為は不適切」として規制の検討に乗り出した。
紹介業者は高齢者施設の患者を一挙に大量獲得し、訪問診療をする開業医に話を持ちかけることが多い。
紹介料の相場は、患者1人あたり診療報酬(月約6万円)の2割だ。
兵庫県の診療所。
毎週金曜日、午前の診察が終わると、待合室で製薬会社や医療機器メーカーの社員らが医師に次々と自社製品を売り込む。
昨夏、ひとりの営業マンが「患者を紹介したい」と切り出した。
医師は意外な提案に驚き、順番を後回しにして最後に彼だけを応接間に招き入れた。
「先生にいい話を持ってきました。喜んでもらえると思います」
営業マンは医師と患者を「マッチング」させていると言った。
「これからは在宅医療の時代ですね」と笑顔で話し、高齢者施設で暮らす患者を紹介するから訪問診療してほしいと提案した。
そして続けた。
「収入(診療報酬)が入ったら、2割をコンサルタント料として頂きます。ウチは完全成功報酬制です」
さらに診療所のリストを見せ、「たくさんのお医者様にも契約して頂いています」と続けた。
関西の医師50人ほどの名がある。
訪問診療をしている医師をインターネットで調べて営業していると明かした。
1時間粘ったが、医師は断った。
福岡県の診療所にも別の業者が来た。
医師は不審に思い、ひそかに録音した。
営業マンの声は柔らかい。
「コンサルタントフィーという形で、毎月税込み合わせると1人1万5750円をちょうだいさせて頂きます。検査で先生の報酬がどんどん上がっても、うちは1万5750円と固定にさせて頂いているんですよ」
ただし、紹介者が20人を超えると、紹介料は1人2万円に上がると付け加えた。
1回の訪問で診る患者が多いほど、効率良く診療報酬を得られるからだ。
「この市場はちょっとしたバブルでして。パイの取り合いというか、いろんな業者が参入してきて大変なんですよ」
営業マンは「今のところグレーゾーン。規制が入るかもしれない」と危機感を見せる一方、「いくらなら折り合えますか」「顔を見てもらえるだけでいいと言う患者さんもいます」と食い下がった。
30分後、断る医師に「あきらめてません。またうかがいますので」と言うところで録音は終わっている。
朝日新聞の取材に少なくとも医師6人が業者と契約したことを認めた。
紹介先はサービス付き高齢者住宅や有料老人ホームの入居者がほとんど。
一度に多く診ることができる場所だ。
ある医師は疑問を感じつつ、話に乗った。
診療所を開いて数年。
「患者を得るため業者を利用してしまった。外来だけでは経営が苦しかった」と打ち明けた。
■医師の規制、厚労省検討
厚労省は(1)医師が過剰な診療をする可能性がある(2)患者が医療機関を選ぶ自由を奪うことから「不適切な医療」と判断し、情報収集を進めている。
担当者は「想定していなかった。医者がそんなことをするはずはないと思っていた」。
業者の規制は難しく、医師への規制を検討し始めた。
◆キーワード
<訪問診療>
緊急時に患者の求めで行く往診とは異なり、医師が通院困難な患者が住む自宅や施設へ定期的に出向く診療。
1人を診て得る訪問診療料は1回8300円。
これに処方箋(せん)料や検査料などが上乗せされる。
24時間体制の診療所から月2回以上訪問すると月4万2千円加算され、医師が得る合計は月6万円を超す。」
弁護士法では、遥か昔から、以下のとおり、斡旋することも、斡旋されることも、禁じられています。
「弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で、訴訟事件、非訟事件及び審査請求、異議申立て、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して…これらの周旋をすることを業とすることができない。」(72条)。
「弁護士は、第72条乃至第74条の規定に違反する者から、事件の周旋を受け…てはならない。」(27条)。
斡旋した者も、斡旋を受けた弁護士も、2年以下の懲役又は300万円以下です(77条)。
しかも、弁護士職務基本規定では、更に、厳しく定められています。
「弁護士は、不当な目的のため、又は品位を損なう方法により、事件の依頼を勧誘し、又は事件を誘発してはならない。」(10条)。
「弁護士は、弁護士法第72条から第74条までの規定に違反する者又はこれらの規定に違反すると疑うに足りる相当な理由のある者から依頼者の紹介を受け、これらの者を利用し、又はこれらの者に自己の名義を利用させてはならない。」(11条)。
「弁護士は、その職務に関する報酬を弁護士又は弁護士法人でない者との間で分配してはならない。」(12条)
「弁護士は、依頼者の紹介を受けたことに対する謝礼その他の対価を支払ってはならない。弁護士は、依頼者の紹介をしたことに対する謝礼その他の対価を受け取ってはならない。」(13条)
当然、懲戒事由にもなります。
勿論、様々な弊害が予想されるからです。
最新の「弁護士及び弁護士法人並びに外国特別会員の業務広告に関する指針」は↓です。
http://www.nichibenren.or.jp/library/ja/jfba_info/rules/pdf/kaiki/kaiki_gyoumukoukoku_shishin.pdf
「完全成功報酬制で、受任した事件の報酬の〇〇%が手数料です。」などと、平気で電話で話を持ち掛けてくるインターネット関係の業者さんも少なくないですが、成功報酬ということであれば、「当該弁護士情報提供ホームページへの登録、掲載等の期間及びこれに要するスペース、容量等に従い客観的かつ定額的に決まる登録、掲載等の対価」以外の金銭なので、明らかに、非弁提携にあたると思うのですが…。
札幌弁護士会所属弁護士森越壮史郎法律事務所ホームページ