以下は、YOMIURI ONLINE(2013年8月5日)からの引用です。
「福島市が、配偶者暴力(DV)を受けて離婚した女性の転居先が書かれた証明書を、誤って元夫に送付していたことが5日、わかった。
女性は元夫に転居先が知られることを恐れ、氏名や住所が記載された住民基本台帳の閲覧を制限するよう市に申請し、受理されていた。
市地域福祉課は「確認が不十分だった。あってはならないミスで、大変申し訳ない」としている。
市によると、女性は離婚後の今年2月初旬、子供の医療費助成を受ける際に必要な証明書について、保護者の氏名や住所を変更するよう申請した。
市は記載を変更した証明書を作成したが、証明書を入れた封書の送付先を元の住所のままにしていた。
封書を受け取った元夫が中身を確認し、証明書に記載されていた女性の転居先に転送したため、ミスが発覚した。
女性の抗議を受けた市は2月下旬に直接謝罪。
女性は慰謝料や再び転居するための費用の賠償を求めたが、市は応じていない。」
元夫にしてみれば、「お前の居場所はつかんだぞ」というところでしょうか。
このようなケースであれば、転居費用は勿論、それなりの慰謝料が認められても、全然おかしくないと思うのですが、過失は認めるものの、相当因果関係は認めないということなのでしょうか。
民法416条は、「債務の不履行に対する損害賠償の請求は、これによって通常生ずべき損害の賠償をさせることをその目的とする。」と定める一方で、「特別の事情によって生じた損害であっても、当事者がその事情を予見し、又は予見することができたときは、債権者は、その賠償を請求することができる。」と定めており、不法行為や国家賠償においても、同様に理解されています。
住民基本台帳の閲覧を制限する課と、証明書を発行する課は違うので、予見不能の特別損害だという見解なのでしょうか…。
札幌弁護士会所属弁護士森越壮史郎法律事務所ホームページ