以下は、時事ドットコム(2013/06/19)からの引用です。
「政府の「法曹養成制度検討会議」(座長・佐々木毅元学習院大教授)が19日、法務省で開かれ、司法試験や法科大学院の在り方の見直しに向けた最終報告を取りまとめた。
司法試験合格者数を年間3000人程度とする政府目標を撤廃し、教育成果の乏しい法科大学院に定員削減や統廃合を促すことなどが柱。
近く開催予定の「法曹養成制度関係閣僚会議」(議長・菅義偉官房長官)に報告される。
政府は2002年、司法試験合格者数の目標を「10年ごろに年間3000人程度」と閣議決定したが、実際の合格者数は目標にとどかず、最終報告は「現実性を欠く」と指摘。
法曹人口に関しては、具体的な提言のために必要な調査を「新たな検討体制」の下で行い、「結果を2年以内に公表する」とした。
当初は「2年以内を目途に結論を得る」としていたが、年限のハードルを下げた形だ。」
続いて、以下は、朝日新聞デジタル(2013年06月19日)からの引用です。
法科大学院、実績低迷なら強制閉校も 政府検討会議提言
「政府の「法曹養成制度検討会議」(座長=佐々木毅・元学習院大教授)は19日、司法試験の合格率が低い法科大学院を、事実上「強制退場」させる最終提言をまとめた。
修了した学生に司法試験の受験資格を与えないなどの法的措置を想定している。
成績不振校の切り捨てに、大学院側の強い反発が予想される。
検討会議は、弁護士など法曹人口の急増による司法試験合格者の就職難から、「司法試験合格者を年間3千人に」とする政府目標の撤廃方針も提言に盛り込んでいる。
法科大学院は志願者数が2004年度の7万2800人から今年度は約1万4千人に激減。
定員割れの常態化で、司法試験合格者が少ない大学院の存在が問題になっていた。
法的措置の具体的な内容や適用基準は、法務省、文部科学省、日本弁護士連合会、最高裁でつくる別組織で引き続き検討し、今後2年以内に結論を出す。
いまのところ、司法試験の合格実績が低い大学院について、修了者に司法試験の受験資格を与えない▽学生募集を停止させる――などの措置が想定されている。
ただ提言は、「各大学院の自主的な取り組みに加えて、大学院の改善に向けた総合的な対策も必要だ」とし、法的措置を導入する場合も「地方や夜間の大学院への適用には配慮が必要だ」と併記した。
さらに法科大学院を修了した受験生について、司法試験への心理的負担を軽くするため、これまでは「大学院修了後5年で3回まで」としていた受験回数の制限を、「5年で5回」とする緩和策を盛り込んだ。
提言は7月からの関係閣僚会議を経て正式決定され、関連法令が改正される見通し。 」
今回の検討会議は↓
http://www.moj.go.jp/housei/shihouseido/housei10_00032.html
我々、旧司法試験の時代には、合格者数の目標などというものはなく、単純に、法曹となるのに必要な能力を有していると認められる受験生が、合格していました。
合格者数は500人程度、合格率は2%程度でした。
それでも、法曹を目指す人は、沢山いました。
法曹人口を増やした方が良いということで、3000人という目標を定めた訳ですが、成績上位3000人に入りさえすれば、一定の能力がなくても合格、という訳には行かないことは、当然です。
一気に6倍くらいの合格者を出すために、それだけの人数が一定の能力を備えることができるように、法科大学院制度を用意した訳ですが、その期待に応えることができなかったということだと思います。
法曹を目指そうとする若者は激減していますので、有能な人材が法曹を目指さなくなる結果として、一定の能力を合格の条件とする限り、自ずと司法試験合格者も減少していき、どこかで均衡するのだと思います。
しかし、司法は最後の砦なのに、そんな尻つぼみのような形で均衡するのが、本当に良いのだろうかという気がしてなりません。
札幌弁護士会所属弁護士森越壮史郎法律事務所ホームページ