以下は、YOMIURI ONLINE(2013年5月26日)からの引用です。
「ストーカー被害を受けて転居した兵庫県内の30歳代の女性が、本来は訴状に記載が必要な現住所を伏せたまま、加害者の30歳代の男に損害賠償を求めて神戸地裁に提訴し、和解していたことがわかった。
加害者から再び被害を受けるのを防ぐため、最高裁は住所を記載しなくても訴状の受理を認めているが、具体的なケースが明らかになるのは異例。
女性は「安心して提訴できることを知ってほしい」と訴えている。
訴状などによると、女性は2006年から職場の同僚だった男と交際。
約1年半後に別れ、他の男性と付き合うようになった。
その約2年後、男から携帯電話に「近くまで見に来たよ」「男性と会ってたね」などとメールが届き、職場にも無言電話が相次いだ。
男はストーカー規制法違反容疑で逮捕され、実刑判決が確定。
警察の捜査では、男が交際中に女性宅の鍵を複製し、別れてからも留守中に侵入して下着を物色していたことがわかった。
女性は退社と転居を余儀なくされたが、「泣き寝入りしたくない」と被害者支援に詳しい弁護士に相談。
提訴を考えたが、最高裁規則では訴状に原告の住所を記載することになっており、「転居先の住所を知られたくない」と不安を伝えた。
しかし、最高裁は、犯罪被害者基本法が施行された05年、「原告の生命や身体に危険性がある場合、訴状に原告と連絡が取れる場所が記載されていれば、原告の居住地の記載を厳格に求めなくてもいい」と全国の地裁に通知していた。
女性から相談を受けた弁護士はこの通知を知っており、自らの事務所の所在地を書いて訴状を作成した。
男が出所した後の昨年10月、女性は転居費用や慰謝料など550万円の損害賠償を求めて提訴。
約2か月後、男が賠償金100万円を支払うことで和解した。
女性は「なぜ私が逃げなければならないのかと思っていた。裁判で加害者に賠償させることができ、ようやく事件から解放された」と話している。
ストーカー被害者の支援団体などによると、被害者の大半は加害者に住所を知られて仕返しされるのを恐れ、裁判に踏み切れない。
住所を伏せる方法も弁護士らに浸透せず、十分活用されていないという。」
DVがらみの離婚事件で、住所秘匿の上申をして、認められたことがあります。
こちらは、代理人の事務所等を住所として表示するのではなく、当事者の表示は、「本籍 〇〇 住所 秘匿」となります。
離婚届に支障がないのかしらと思いましたが、判決に住所が書いていなくても、本籍地が書いてあるので、何の支障もないそうです。
本件のような民事事件では、判決が出たり、和解をしても、支払わない場合には、強制執行することになりますが、より一層、何の支障もありませんね。
こういうことは、積極的に報道して欲しいものです。
勿論、どちらも、単に、「何となく住所を知られたくないから」という理由だけで、認めらる訳ではないことは、言うまでもありません。
札幌弁護士会所属弁護士森越壮史郎法律事務所ホームページ