以下は、毎日jp(2013年05月22日)からの引用です。
「2010年4月、富山市の会社役員夫婦が殺害され、自宅を放火された事件で、殺人や現住建造物等放火などの疑いで逮捕された加野猛(かのたけし)・元富山県警警部補(54)=同市森1、懲戒免職=について、富山地検は勾留期限の22日、処分保留としたと発表した。
殺人などの罪の判断は先送りされたが、逮捕前の昨年12月、地方公務員法(守秘義務)違反の罪で起訴されており、引き続き勾留される。
地検は「任意で捜査を続け、早期に処分を決めたい」としているが、殺人放火という重大事件で、現職警察官を逮捕しながら勾留期限までに処分が決まらないのは極めて異例。
逮捕容疑は10年4月20日正午ごろ、同市大泉の会社役員、福田三郎さん(当時79歳)宅で、三郎さんと妻信子さん(同75歳)の首を綿ロープで絞めて殺害し、灯油をまいて放火した、などとされていた。
福田さんは04年まで加野被告の自宅近くに住む知人だった。
加野被告は県警の調べに対し、逮捕当初、殺人容疑などについて「申し訳ない」などと認めて、動機に関しては「30年間の積み重ね」と供述したとされていた。
この日、記者会見した富山地検の井上一朗・次席検事は処分保留の理由として、「継続して捜査をする必要がある」とだけ説明した上で、「捜査中なので具体的にどういう捜査をする必要があるかは現時点では答えられない」とした。
また、地方公務員法違反の罪の起訴による勾留と、殺人放火事件の捜査は別として、同事件は今後、あくまでも任意で捜査すると強調した。
一方、殺人放火事件で加野被告の弁護人を務める水谷敏彦弁護士は「責任能力に関して判断がつかないのか、有罪を立証するための証拠がないのか、どっちなのか全く分からない」と話した。
また「これだけ長い時間をかけて捜査をして判断できなかったものが、補充捜査をして新たな証拠が出てくるとは思えない。長い間勾留して、ルールをかいくぐって時間かせぎしていると見えないでもない」と地検の姿勢を批判した。」
この事件の概要については↓
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AF%8C%E5%B1%B1%E5%B8%82%E4%BC%9A%E7%A4%BE%E5%BD%B9%E5%93%A1%E5%A4%AB%E5%A9%A6%E6%94%BE%E7%81%AB%E6%AE%BA%E4%BA%BA%E4%BA%8B%E4%BB%B6
責任能力なしで無罪となったとしても、特段、汚点にはならないのか、検察官は、責任能力に疑義があっても、結構、強気で起訴してくるという印象がありますし、逮捕されるまでは、曲がりなりにも警察官として働いていた訳ですから、責任能力で迷っているとは思えませんね。
憲法38条3項は、「何人も、自己に不利益な唯一の証拠が本人の自白である場合には、有罪とされ、又は刑罰を科せられない。」と定めており、これを受けた刑事訴訟法319条2項は、「被告人は、公判廷における自白であると否とを問わず、その自白が自己に不利益な唯一の証拠である場合には、有罪とされない。」と定めています。
自白獲得のために拷問が行われたり、自白のみに偏した裁判が行われた過去の歴史への反省から、定められたもので、補強法則と言います。
元々、放火により証拠が散逸していることに加えて、犯行後3年もの年月が経過していますし、しかも、事件のあった富山県警の現職警察官だった訳ですから、秘密の暴露↓と評価できるようなものもない、ということなのではないでしょうか。
http://morikoshisoshiro.seesaa.net/article/363274401.html
CD−Rがすぐに任意提出されていれば、違った展開となったでしょうか。
札幌弁護士会所属弁護士森越壮史郎法律事務所ホームページ