以下は、毎日jp(2013年05月22日)からの引用です。
「北海道湧別(ゆうべつ)町で今年3月、父親と娘が暴風雪に巻き込まれ父親が亡くなった事故を受け、総務省消防庁は本人以外から救助要請があった場合でも、消防が携帯電話会社5社に問い合わせができるよう新たな照会のルールを作り、全国の消防本部と携帯各社に通知した。
通知は4月12日付。
消防庁によると、これまでも救助を求める本人からの119番があれば、その携帯電話の位置情報を携帯各社が消防に提供する取り決めはあった。
しかし本人からの119番がない場合は、位置情報は通信の秘密にあたる個人情報だとして裁判官からの令状があるなど特別な場合を除き、携帯各社が消防に情報提供できる仕組みはなかった。
3月の暴風雪被害で、湧別町の漁師、岡田幹男さん(当時53歳)は携帯電話で親族らに助けを求めた。
親族らから119番通報を受けた地元消防は岡田さんの携帯電話の番号は分かったが、本人からの119番ではないため携帯電話会社から位置情報の提供は得られず、捜索が中断した。
このため消防庁は携帯各社と協議。
新たな取り決めでは、消防庁が位置情報の提供を依頼する「照会書」のひな型を作成。
生命や身体への危険が切迫している場合に限り、携帯電話の番号が分かっていれば消防が依頼して、位置情報を取得できるようにした。
岡田さんは長女夏音(なつね)さん(9)を抱きかかえるようにして凍死しているのが見つかった。」
3月だというのに、信じられないような暴風雪で、非常に痛ましい事故でしたが、そんな事情があったのですか。
本人から通報があれば、自動的に位置情報がわかる仕組みになっているのだそうですが↓、本人からの通報でない場合には、教えられないというのは、個人情報保護法を理解していないとしか言いようがありません。
http://www.fdma.go.jp/neuter/topics/jouhou/190126unyou.html
個人情報保護法23条1項は、「個人情報取扱事業者は、次に掲げる場合を除くほか、あらかじめ本人の同意を得ないで、個人データを第三者に提供してはならない。」と定めていますが、その例外のひとつとして、「人の生命、身体又は財産の保護のために必要がある場合であって、本人の同意を得ることが困難であるとき。」(2号)と明記しています。
消防に対して位置情報を提供することが、本人との関係で義務的であるとまでは言えないでしょうが、実に残念な話です。
個人情報保護法が施行されてから随分経ちますが、未だに、誤解や歪曲が多いように思います。
札幌弁護士会所属弁護士森越壮史郎法律事務所ホームページ