以下は、朝日新聞デジタル(2013年05月09日)からの引用です。
「全国の法科大学院入試の今年度の志願者は計1万3924人で、前年度より25%減った。
文部科学省が集計した。
制度を開始した2004年度のわずか19%で過去最低。
2割台に低迷する司法試験合格率などが、不人気の理由とみられる。
一方、入学者数も計2698人(前年度比14%減)にとどまり、定員に対する入学者数の割合(充足率)は63%。
大半の大学が入学定員を過去5年のうちに削減。
その間、定員の合計は約3割減ったものの、今年度入学者数が定員を超えたのは、千葉大や大阪大など5大学のみで、9割以上の大学が定員割れだった。
文科省によると、今年度の入試を実施した法科大学院は、募集を止めた4校を除く69校。
全体の志願倍率は3・3倍。04年度には13倍だったが、減少傾向に歯止めがかからない。
大学別でみると、志願者数が最多だったのは早稲田大で1741人(前年度比23%減)。
一方、最少の大阪学院大は7人(同67%減)にとどまり、志願倍率は0・2倍だった。
法科大学院は、昨年度の司法試験合格率が平均24・6%。
学校による教育内容の大きな格差が問題視されており、政府の法曹養成制度検討会議などが改善策を検討している。 」
続いて、以下は、日経Web刊(2013/5/8)からの引用です。
法科大学院、93%で定員割れ 入学者10人未満が23校
「今春、学生を募集した法科大学院69校のうち、93%に当たる64校で入学者が定員を下回ったことが8日、分かった。
文部科学省が同日、法科大学院の在り方を検討している中教審法科大学院特別委員会に報告した。
昨年度の86%からさらに悪化し、司法試験合格率が低迷する法科大学院の学生離れが一段と鮮明になった形だ。
文科省がまとめた資料によると、今春の法科大学院の募集定員は69校で計4261人。
入学者は定員の63%に当たる計2698人にとどまり、2004年のスタート以降で最低を更新した。
昨年の3150人(73校)から452人減った。
入学者数が定員の半数に満たなかったのは40校。
23校は入学者数が10人未満となり、特に新司法試験合格率が低迷する学校は前年度からの落ち込みが大きかった。
定員に占める入学者数の割合(充足率)が最も低いのは大阪学院大で7%。次いで久留米大と島根大が10%、東海大と東北学院大が13%、駒沢大が19%と続いた。
国立で5割を下回ったのは島根大のほか、新潟大(25%)、鹿児島大(27%)、香川大(30%)、静岡大(40%)、熊本大(41%)、東北大(44%)。
100%以上だったのは千葉大(118%)、大阪大(114%)、神戸大(105%)、一橋大(102%)、京都大(101%)の5校で、いずれも国立大だった。
昨年の司法試験の合格率が一橋大(57.0%)、京都大(54.3%)に次ぐ3位(53.6%)だった慶応義塾大の充足率は94%。
4位(51.2%)だった東大は97%だった。
法科大学院全体の志願者は延べ計1万3924人(前年比4522人減)で、合格者は延べ計5619人(同903人減)だった。」
更に、以下は、同じく日経Web刊(2013/5/8)からの引用です。
募集停止や統廃合加速 法科大学院
「法科大学院を巡っては、修了者の司法試験合格率が低迷し、学生離れの動きが強まるなか、募集停止や統廃合の動きが加速している。
姫路独協大は2011年春から学生募集を停止し、今年3月に廃止された。
今年度は明治学院大、駿河台大、神戸学院大、大宮法科大学院大の4校が学生募集を停止。
東北学院大も14年度から募集をやめる。
桐蔭横浜大と大宮法科大学院大は16年度をめどに統合する予定だ。
法科大学院修了者の合格率は単年度で見ると09年以降20%台が続いており、累積でも5割程度にとどまっている。
政府の法曹養成制度検討会議は4月にまとめた中間提言で、法科大学院の統廃合や定員削減の必要性を指摘し、合格実績などを踏まえた補助金削減などに言及した。」
一方、以下は、YOMIURI ONLINE(2013年5月2日)からの引用です。
司法予備試験、今年の出願は最多1万1255人
「合格すれば法科大学院を経ずに司法試験の受験資格を得られる「予備試験」の今年の出願者数が1万人を超え、過去最多の1万1255人に達したことが法務省のまとめでわかった。
2011年に同試験が導入されてから2年連続の増加。
一方、正規ルートにあたる法科大学院の今年度の入学者数は定員4261人に対し3000人程度と、過去最低を更新する見通しで、法科大学院離れがまた進んだ。
同省人事課によると、予備試験の出願者数は11年が8971人、昨年は9118人。
11年の予備試験組が受けた翌12年の司法試験合格率(68%)は法科大学院修了生(25%)を大幅に上回り、合格者58人中26人が現役大学生だったことから、優秀な学生が法科大学院に通う時間や費用を節約する「近道」として利用しているとの指摘がある。
12年の予備試験合格者219人(うち現役大学生69人)は今年以降の司法試験に挑む。」
今回の出願者数を含めた予備試験の結果は↓
http://www.moj.go.jp/jinji/shihoushiken/jinji07_00027.html
法科大学院特別委員会は↓で(ホームページ上の5月2日開催という表示は誤りのようです)、まだ配布資料は掲載されていませんが、そのうち掲載されることと思います。
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo4/012/
昔の司法試験並みの合格率僅か1.8%という予備試験の狭き門↓に、1万1255人もの出願者が殺到する一方で、法科大学院への入学者は、定員の63%の僅か2698人と、予備試験出願者の4分の1にも満たないというのは、実に情けない話ですが、これが現実。
http://morikoshisoshiro.seesaa.net/article/234649994.html
http://morikoshisoshiro.seesaa.net/article/294266925.html
札幌弁護士会では、3月27日に、「法科大学院課程修了を司法試験受験資格としないこと。」「充実した実務教育を行うため、司法修習制度において前期集合修習を実施し、修習期間を延長するなどの改善を行い、あわせて給費制を復活させること。」という決議を行いました↓
http://satsuben.or.jp/info/statement/2012/res02.html
勿論、反対意見も少なからずありましたが、この現実を目の当たりにすると、改めて、やはり、やむを得ない選択なのではないかと思います。
札幌弁護士会所属弁護士森越壮史郎法律事務所ホームページ