以下は、毎日jp(2013年04月30日)からの引用です。
「年金などを担保に高齢者らに違法な高金利で貸し付ける「偽装質屋」事件で、福岡地裁に業者2社の債権者破産を申し立てていた福岡県の被害弁護団は30日記者会見し、申し立てに必要な予納金を国が立て替える「国庫仮支弁(かりしべん)制度」が国内で初めて適用されたと明らかにした。
九州地方を中心に約1万人が約80億円の貸し付けを受けたとされ、「破産手続きが進むことで被害者のスムーズな救済につながる」と評価している。
弁護団によれば、破産手続きが始まるとみられるのは、いずれも福岡市博多区の「恵比寿」「ダイギンエステート」。
福岡地裁は4月26日付で破産法23条に基づく国の立て替えを認め、2社の保全管理命令を出した。
今年2月に被害者の21人が申し立てていた。
偽装質屋は都道府県公安委員会の許可を受けた質屋なのに、実態は無登録で貸金業を営む。
ほとんど価値のない物品を質入れさせて金を渡し、貸金業法の上限(年20%)を超える高利息を要求する。
2010年の改正法完全施行で上限金利が引き下げられたことなどを背景に被害が拡大。
返済金が年金口座から自動引き落としされるように契約するケースもあり、2社も客の年金口座から元本と利息分を回収したとして福岡県警が昨年10月、貸金業法違反容疑で家宅捜索に入っていた。
債権者破産の予納金を巡っては、元本保証をうたい会員制美容サロン事業への出資を名目に理美容店経営者らから約6億円を集めた山梨県大月市の「ハートサービス」社が昨年末に全国の5店舗を突然閉鎖。出資者らが甲府地裁に破産を申し立てたが、予納金の350万円を集められず3月に手続きを断念していた。
弁護団によると、国庫仮支弁制度の申請例は過去に数件あるものの、いずれも却下されたという。
今回は被害者の大半が年金や生活保護を受けている高齢者で予納金支払いが難しい上、予納金を業者から回収できる見込みがあると裁判所が判断したとみられる。」
福岡の偽装質屋とは↓のことですね。
http://morikoshisoshiro.seesaa.net/article/319366918.html
破産法は、「破産手続開始の申立てをするときは、申立人は、破産手続の費用として裁判所の定める金額を予納しなければならない。」(22条1項)と定める一方、「裁判所は、申立人の資力、破産財団となるべき財産の状況その他の事情を考慮して、申立人及び利害関係人の利益の保護のため特に必要と認めるときは、破産手続の費用を仮に国庫から支弁することができる。」(23条1項)と定めていますが、確かに、国庫仮支弁が認められたという話は、今まで聞いたことがありません。
過払金↓の返還を命じた判決が出ても、過払金を返還しない貸金業者に対して、集団で、債権者破産の申立をするというケースもあるのですが、裁判所から、予納金3000万円とか言われて、苦労することになります。
http://morikoshi-law.com/kabarai.html
未だに営業している業者は勿論、貸金業登録を抹消している業者も、粛々と貸付金の回収は行っている訳ですから、決算書を等から見て、国庫仮支弁しても、回収の見込みがあるケースでは、広く仮支弁を認めて欲しいものです。
札幌弁護士会所属弁護士森越壮史郎法律事務所ホームページ