積読になっていた3月号の判例タイムズという判例雑誌に、否認権行使の要件である「支払の停止」に関する最高裁平成24年10月19日判決が、掲載されていました。
裁判所のホームページにも、掲載されていますね↓
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=82647&hanreiKbn=02
判例雑誌の場合、解説もあわせて掲載することもあり、判決から掲載まで随分日数がかかりますが、解説も参考になることが多いです。
「債務者の代理人である弁護士が債権者一般に対して債務整理開始通知を送付した行為は、破産法162条1項1号イ及び3項にいう「支払の停止」に当たる」ということ自体は、当たり前のようにも思いますが、この判決の射程距離に関する補足意見には、感心しました。
原審の東京高裁判決は見ることができませんが、原審が破産管財人の否認権行使を否定したのは、恐らく、最高裁判決の補足意見が述べるような懸念を抱いたからなのだと思いますが、その懸念を払拭しつつ、本件においては否認権行使を認めるという、良く考えられた判決だと思います。
金融機関だけでなく、信販会社や消費者金融業者ですら、我々弁護士が受任通知を出せば、その後の請求や引落しはしませんが、公務員共済など、破産や個人再生などの決定が出るまでは、頑として、給料天引を止めないところもありました。
既に運用が改まっているのであれば良いですが、そうでなければ、この最高裁判決を機に、運用を改めて頂きたいものです。
札幌弁護士会所属弁護士森越壮史郎法律事務所ホームページ