以下は、毎日jp(2013年04月24日)からの引用です。
「栃木県鹿沼市で11年4月、登校中の小学生の列にクレーン車が突っ込み児童6人が死亡した事故で、遺族34人が元運転手(28)=服役中=と母親、元勤務先を相手取り、慰謝料など計約3億8000万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が24日、宇都宮地裁であった。
岩坪朗彦裁判長は母親の賠償責任も認め、3者が連帯して児童の親11人に対し、計約1億2500万円を支払うよう命じた。
遺族は刑事裁判で問えなかった母親らの責任の明確化を求めていた。
元運転手は刑事裁判で、事故前夜から持病のてんかんの薬を服用せずにクレーン車を運転し、発作を起こしたと認定。
今回は同居していた成人の母親に対し、薬の服用を管理する立場にあったとして過失責任を認める異例の判決になった。
訴訟で遺族側は、元運転手について「過去に何度もてんかん発作による事故を起こし、医師からも注意されていた」と主張。
母親については「成人後も薬の服用状況を管理し、事故前夜の飲み忘れも知っていた」などとして過失責任を訴えていた。
これに対し、被告3者はいずれも請求棄却を求めていた。
元運転手側は賠償額について争い、母親側は「薬を服用するかどうかは本人の責任で、成人の親に注意義務はない」などと反論していた。」
死亡した児童が6人に対し、損害賠償を求めた遺族が34人ということは、親だけでなく、祖父母や兄弟姉妹なども、遺族としての固有の慰謝料を求めたということになりますが、判決が認めたのは、親11名だけということです。
人数が増えたからと言って、全体としての慰謝料の額が大幅に増えるということでもないのですが、それだけ、遺族の方々にとって、ショックな出来事だったということでしょうね。
児童6名死亡で、判決で認められた金額が計約1億2500万円ということですので、少なくとも、自賠責保険の被害者請求(死亡の場合1人3000万円)を行った上での提訴ということなのでしょうが、それにしても、児童1名あたり5000万円余り(3000万円+1億2500万円÷6≒5083万円)というのは、低額ですね。
過失相殺が問題となるような事故ではないと思いますので、人身傷害補償特約↓による支払を受けた上で提訴という方も、少なからずいたということなのでしょうね。
http://morikoshi-law.com/faq3-4.html
加害車両は、業務用の車両ですので、対人無制限の任意保険に加入しており、最終的には、任意保険で全額支払われるのでしょうが、厳罰化のきっかけとなった事故の1つで、確かに非常に痛ましい事故で、これが自分の子供だったらと思うとぞっとしますので、遺族のお気持ちもわかるような気がします。
札幌弁護士会所属弁護士森越壮史郎法律事務所ホームページ