以下は、毎日jp(2013年04月19日)からの引用です。
「医療事故の原因を究明し再発防止を図る「医療事故調査機関」の新設を目指す厚生労働省が、死亡事故の遺族が事故調に調査を依頼した際、一定の負担金を支払わせることを検討していることが18日、分かった。
事故調査の制度設計を検討する有識者会議で報告された。
厚労省は「調査依頼者が費用を一部負担するのは当然」と説明するが、有識者からは「負担金を払えず泣き寝入りする遺族も現れかねない」などと懸念する声が相次いだ。
厚労省は18日の有識者会議で、死亡事例について医療機関がまず院内調査をし、結果を民間の第三者機関である医療事故調に報告▽調査結果に遺族が納得できない場合、事故調が調査▽事故調から警察への通知はしない−−などの案を示し、大筋了承された。
厚労省は案の中で、事故調の調査費について、国の補助金や医療関係団体の負担金を充てるのに加え「遺族の申請に基づき調査を行うため、遺族にも一定の負担を求める」と提案。
これに対し、出席した加藤良夫・南山大法科大学院教授は「医療の向上に貢献すると考え調査するのに、遺族に費用を負担させるのは制度の理念に合わない」と指摘。
医療事故で5歳の長男を亡くした豊田郁子さん(45)は「負担金が出せないために遺族が依頼できず、問題が調査されずに素通りになる恐れがある」と訴えた。
厚労省側は「低所得者にも配慮した金額にする」と説明し、5月下旬の次回会議で詳細な負担金の額を示して新制度の骨子案をまとめる方針。
再発防止を目的とした事故調査機関では、航空や鉄道、船舶の事故を調査する国土交通省運輸安全委員会や、製品事故などを調べる消費者安全調査委員会がある。
いずれも被害者や遺族に調査の負担金は発生しない。」
厚生労働省の医療事故に係る調査の仕組み等のあり方に関する検討部会は↓
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000008zaj.html#shingi121
現在でも、一般社団法人日本医療安全調査機構が、診療行為に関連した死亡の調査分析というモデル事業を行っており↓、患者側の弁護士委員として、ある事例の評価に参加したことがあります。
http://www.medsafe.jp/index.html
院内調査に、遺族が納得するとは、思えないのですが、納得できない遺族からの依頼があれば、医療事故調査機関が調査するということなので、それはそれで良いのかも知れません。
ただ、検討部会の議事録を読むと、院内調査の一環として、自前で解剖できる病院は自前で、と考えているように読めます。
調査費用の遺族負担も問題でしょうが、解剖の結果は、極めて重要ですし、やり直すことはできませんので、解剖自体は、他の病院でするべきではないかと思うのですが…。
札幌弁護士会所属弁護士森越壮史郎法律事務所ホームページ